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不動産登記法② — 登記の順位と対抗

甲区と乙区、どちらが強い? 登記の強さを決めているのはたった1本の物差し。それを目で見て、二重譲渡から仮登記まで一気につなげる。

順位の物差し
仮登記=予約席
まとめ・条文
○×ドリル
✕ よくある誤解:「甲区は所有権だから、乙区より強い」
○ 正しくは:強さは受付の前後で決まる。区の名前は関係ない。
3つの事例で、同じ物差しを使ってみる
実際には、どちらが先に登記されたか?
甲区
所有権
受付
—
—
◀ 受付番号が小さい(先)   大きい(後)▶
乙区
所有権以外
—
結局、順位はこの3行で決まる
同じ区どうし
甲区 vs 甲区/乙区 vs 乙区
順位番号
1番・2番…の数字を比べる
違う区どうし
甲区 vs 乙区
受付番号
順位番号を比べてはいけない
付記登記
主登記の順位
ぶら下がった先と同じ強さ
3行とも、言っていることは同じ。
「先に受け付けられた方が勝つ」(4条1項)
順位番号は、受付の順にふられる。だから同じ区どうしなら順位番号を見れば足りる。ところが甲区と乙区は別々に番号をふっているので、「乙区1番」と「甲区2番」を見比べても意味がない。区をまたぐときだけ、共通の物差しである受付番号に戻る——それだけの話。
仮登記は「予約席」。席そのもの(対抗力)はまだ無い。順位という席だけを先に押さえておく制度。あとで本登記をすると、その予約席にすわる——だから、間に入った人を飛び越える。
Aが所有する土地。Bは将来この土地を買う約束をし、順位2番に所有権移転請求権の仮登記を入れた(受付第1000号)。そのあと、Cが本当に買って所有権移転登記を入れた(順位3番・受付第1500号)。
さて、Bが本登記をすると、どうなるか。
本登記の申請に、何を付けるか(109条1項)
仮登記の効力 — 「順位だけ」を押さえる
仮登記のままでは対抗力はない。あるのは順位保全の効力だけ。
のちに本登記をすると、その本登記の順位は仮登記の順位による(106条)。これが「予約席にすわる」ということ。
だから、仮登記のあとに入った登記は、本登記によって順位で負ける。
仮登記ができる2つの場面
1号仮登記=物権変動はすでに起きているのに、登記識別情報を提供できないなど手続上の条件がそろわないとき。
2号仮登記=物権変動はまだ起きていないが、その請求権を保全したいとき(始期付き・停止条件付きなど。農地法の許可がまだ下りていない売買が典型)。
宅建では、「まだ本物の権利になっていないから、席だけ取っておく」という感覚がつかめていれば十分。
仮登記の申請・抹消は、単独でできる場面がある
仮登記も原則は共同申請。ただし次のときは仮登記権利者が単独で申請できる(107条1項)。
・仮登記義務者の承諾があるとき
・仮登記を命ずる処分があるとき
抹消のほうは、仮登記の登記名義人が単独で申請できる。登記上の利害関係人も、仮登記名義人の承諾があれば単独で申請できる(110条)。
① 順位のルール(不登法4条・規則2条1項)
同一の不動産について登記した権利の順位は、法令に別段の定めがある場合を除き、登記の前後による(4条1項)。
その「前後」は——同一の区にした登記どうしは順位番号、別の区にした登記どうしは受付番号によって決まる。
付記登記の順位は主登記の順位による(4条2項)。付記登記どうしの間では、その前後による。
② 対抗要件(民法177条)
不動産に関する物権の得喪及び変更は、登記をしなければ第三者に対抗できない。
だから二重譲渡では、契約の先後ではなく登記の先後で勝負がつく。
ただし、背信的悪意者は177条の「第三者」にあたらないので、その者に対しては登記がなくても対抗できる、というのが判例。
③ 仮登記(106条・107条・109条・110条)
106条 仮登記に基づいて本登記をした場合、その本登記の順位は仮登記の順位による。
107条1項 仮登記は、仮登記義務者の承諾があるとき、または仮登記を命ずる処分があるときは、仮登記権利者が単独で申請できる。
109条1項 所有権に関する仮登記に基づく本登記は、登記上の利害関係を有する第三者がある場合には、その第三者の承諾があるときに限り、申請することができる。承諾を証する情報に代えて、その第三者に対抗することができる裁判があったことを証する情報でもよい。
109条2項 本登記をしたときは、その第三者の権利に関する登記は登記官が職権で抹消する。
110条 仮登記の抹消は、仮登記の登記名義人が単独で申請できる。利害関係人も、仮登記名義人の承諾があれば単独で申請できる。
④ 「所有権に関する」がついているのはなぜか
109条は所有権に関する仮登記の本登記だけを対象にしている。所有権は1つの不動産に1つしかないので、Bが本登記をすればCの所有権登記は両立できず、消えるしかない。だから、消される側の承諾を要求する。
一方、抵当権のようにいくつも並べられる権利なら、順位が下がるだけで消えはしないので、承諾は不要。
この2ページを1行でつなぐと。登記記録は表題部→甲区→乙区の順に育ち(①)、育ったあとの強さは受付の順で決まる(②)。仮登記は、その受付の順だけを先に予約する仕組み。
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表題部・甲区・乙区と、登記の流れ
根拠条文のメモ(ドラフト)
順位=不登法4条1項(登記の前後による)、4条2項(付記登記の順位は主登記の順位による)。前後の判断=不動産登記規則2条1項(同一の区は順位番号、別の区は受付番号)。
対抗要件=民法177条。背信的悪意者は「第三者」にあたらない(判例)。
仮登記=105条(できる場合)、106条(本登記の順位は仮登記の順位による)、107条1項(仮登記義務者の承諾/仮登記を命ずる処分があれば単独申請)、109条1項(所有権に関する仮登記に基づく本登記は、登記上の利害関係を有する第三者の承諾があるときに限る。承諾を証する情報に代えて、その第三者に対抗することができる裁判があったことを証する情報でも可)、109条2項(第三者の登記は登記官が職権で抹消)、110条(仮登記の抹消は仮登記名義人が単独で申請できる)。
受付番号は、登記所ごとに受け付けた順の通し番号。甲区・乙区の別なくふられるので、区をまたぐ比較の物差しになる。

※本ツールの記載・条数は学習用の目安です。実際の適用は最新の法令・条文をご確認ください。