← 触れる不動産法令図鑑にもどる

不動産登記法① — 登記記録が育つ

登記は、はじめから在るのではなくあとから1行ずつ作られる。ボタンを押すと、下の登記事項証明書に行が書き込まれていく。表題部・甲区・乙区のどこに書かれるかを、目で覚える。

登記の流れ
表示と権利
当事者・用語
○×ドリル
この2つを混ぜないことが、登記法の入口
表示に関する登記権利に関する登記
書かれる場所表題部
どんな不動産か(物理的な姿)
権利部(甲区・乙区)
誰のどんな権利か
代表例建物の表題登記
地目・地積の変更
建物の滅失
所有権保存・移転(甲区)
抵当権・地上権・賃借権(乙区)
申請義務ある(原則1か月以内)原則ない(任意)
※相続登記等は例外(下記)
登記官の職権できる原則できない(申請主義)
申請の形単独で申請原則共同申請
(登記権利者+登記義務者)
対抗力—ある(民法177条)
ここを一言で。表題部は「モノの登記」、権利部は「ヒトの権利の登記」。だから表題部は義務で職権もあり、権利部は本人の意思にまかせて共同申請、という色分けになる。
その人は「所有権保存の登記」を申請できる?(不登法74条)
4番と5番の対比が急所。普通の建物は、いったん表題部所有者の名義で保存登記を入れてから、買主へ移転登記する。ところが区分建物(マンション)だけは、分譲業者を飛ばして買主が直接、保存登記をできる(74条2項)。何十戸ぶんもの保存登記を業者名義で入れる手間を省くための特則。
相続登記の申請義務化(令和6年4月1日 施行)
相続で不動産の所有権を取得した相続人は、自己のために相続の開始があったことを知り、かつ、その所有権を取得したことを知った日から3年以内に、所有権移転(相続)の登記を申請しなければならない。正当な理由なく怠ると10万円以下の過料。
遺産分割がまとまらないときは、相続人申告登記をすれば、ひとまず義務を果たしたものとされる。
施行日より前に発生していた相続にも適用される(その場合は施行日と、知った日のいずれか遅い日から3年)。
住所等の変更登記の申請義務化(令和8年4月1日 施行)
所有権の登記名義人は、氏名・名称や住所を変更したときは、変更の日から2年以内に、変更の登記を申請しなければならない。正当な理由なく怠ると5万円以下の過料。
相続登記の義務化(3年・10万円)と数字が違うので、セットで覚える。
整理。「権利の登記は原則任意」は今も原則。そこに相続登記(3年・10万円)と住所等の変更登記(2年・5万円)という2つの例外が乗った、と捉える。
その登記で「得する人」が権利者、「失う人」が義務者
登記権利者(得する人)
—
登記義務者(失う人)
—
設定と抹消で、銀行と所有者が入れ替わる。抵当権を付けるときは銀行が得をするので銀行が権利者。消すときは所有者が得をするので所有者が権利者。「銀行はいつも権利者」ではない。
共同申請の原則と、単独でできる主な場面
権利の登記は、権利者と義務者が共同で申請するのが原則(60条)。だが、次は単独でできる。
・所有権保存の登記(74条)
・相続や法人の合併による権利の移転(63条2項)
・判決による登記(登記手続を命ずる確定判決/63条1項)
・登記名義人の氏名・住所の変更の登記(64条1項)
・仮登記(登記義務者の承諾があるとき/仮登記を命ずる処分があるとき/107条1項)
共通するのは「相手方の意思を確かめる必要がない、または確かめようがない」場面だという点。
用語を1つずつ、押して開く
用語をえらんでください
上のボタンを押すと、ここに意味が出ます。
つぎは②「登記の順位と対抗」へ
甲区と乙区、どちらが強い? →
根拠条文のメモ(ドラフト)
表題登記の申請義務=47条1項(新築建物・所有権取得の日から1か月以内)。土地の地目・地積の変更=37条、建物の滅失=57条も、いずれも1か月以内。
権利の登記の共同申請=60条。単独申請の例=63条(判決・相続)、64条(登記名義人の氏名等の変更)、74条(所有権保存)、107条(仮登記)。
所有権保存の登記ができる者=74条1項(1号 表題部所有者・その相続人その他の一般承継人/2号 所有権を有することが確定判決で確認された者/3号 収用により所有権を取得した者)、74条2項(区分建物にあっては、表題部所有者から所有権を取得した者。敷地権付き区分建物のときは敷地権の登記名義人の承諾が必要)。
所有権保存の登記をしたときは、表題部所有者に関する登記事項を抹消する記号(下線)を記録=不動産登記規則158条。
相続登記の申請義務=76条の2(3年・過料10万円以下)、相続人申告登記=76条の3。氏名・住所等の変更登記の申請義務=76条の5(2年・過料5万円以下)。
登記事項証明書の交付請求=119条(誰でも、手数料を納付して請求できる。利害関係は不要)。登記に公信力はない。

※本ツールの記載・条数は学習用の目安です。実際の適用は最新の法令・条文をご確認ください。