宅建「債務不履行」まず履行の提供から

債務不履行の問題は、いきなり「解除できるか」を考えると間違えます。双務契約では、その前に一段階あるからです。上のチェッカーは、その順番どおりに判定していきます。

1. 出発点は「履行の提供」

― ここを飛ばすと落とす ―

売買のような双務契約では、相手にも同時履行の抗弁権があります。自分が何もしないまま「払え」「渡せ」と言っても、相手は「そちらが先にどうぞ」と言えるので、相手は履行遅滞になりません。

そこでまず、自分の債務の履行の提供をして、相手の同時履行の抗弁権を奪う。ここから債務不履行の話が始まります。

事例で「Aは代金を提供していない」と書かれていたら、その時点でBは遅滞に陥っていません。設問の事実関係を読むときは、まずここを探してください。

2. 遅滞か、不能か——催告が要るかが変わる

態様解除の手続
履行遅滞(遅れているだけ)相当の期間を定めて催告が必要
履行不能(もう履行できない)催告不要で直ちに解除できる(無催告解除・542条)

履行不能の場合は、催告しても意味がありません。だから催告は要らないし、履行の提供も問題になりません。事例が遅滞なのか不能なのかを見分けることが、そのまま手続の違いに直結します。

3. 解除と損害賠償で、要件が違う

― 最頻出の対比 ―
  • 契約の解除に、債務者の帰責事由は不要です。解除は「この契約から抜ける」ための制度であって、相手を責めるための制度ではないからです。
  • 損害賠償の請求には、債務者の帰責事由が必要です。こちらは相手に責任を負わせる制度だからです。

「債務者に帰責事由がないから解除できない」という肢が出たら誤りです。逆に「帰責事由がなくても損害賠償を請求できる」も誤りになります。解除は不要・損害賠償は必要——この一行を確実に。

4. 解ける事例の型

①双務契約か → ②自分は履行の提供をしたか → ③遅滞か不能か(催告の要否)→ ④聞かれているのは解除か損害賠償か(帰責事由の要否)。この4段で、ほとんどの出題が処理できます。

― ひっかけの型 ―
  • 「自分は何もしていないが、期限を過ぎたので相手は遅滞だ」——双務契約では履行の提供が先です。
  • 「解除するには債務者の帰責事由が必要」——解除に帰責事由は不要です。
  • 「履行不能でも催告が必要」——不能は無催告で解除できます。

※本ページは学習用のまとめです。令和8年度試験の法令基準日は令和8年4月1日です。法令・判例は改正等により変わることがあるため、受験にあたっては最新の公式情報をご確認ください。監修:宅建久保田塾(久保田充秋)。