宅建「報酬(仲介手数料)」の計算ルールまとめ

報酬の問題は、覚えることが少ないわりに毎年ほぼ確実に出る得点源です。計算の型を一度覚えてしまえば、あとは数字が変わるだけ。ここでは速算式から令和6年7月改正の空家特例まで、試験に必要な範囲を整理します。上のドリルと合わせて使ってください。

1. 速算式(売買・交換の媒介)

依頼者の一方から受け取れる報酬の上限です。基準になるのは税抜きの取引価額です。

税抜の取引価額報酬の上限(一方から)
200万円以下代金 × 5%
200万円超 〜 400万円以下代金 × 4% + 2万円
400万円超代金 × 3% + 6万円

2. 消費税は「先に外して、あとで乗せる」

ここが計算問題でいちばん差がつくところです。順番を間違えると答えが合いません。

― 計算の順番 ―

建物を税抜きに直す → 土地と合計 → 速算式 → 消費税を上乗せ →(代理なら2倍)

消費税率は3% → 5% → 8% → 10%と改定されてきました。現在は10%ですが、古い年度の過去問は当時の税率で作られています(平成26年4月〜令和元年9月は8%=×1.08など)。答えの数字を丸暗記すると事故のもとです。令和8年度試験は10%が前提なので、覚えるべきは数字ではなく上の「計算の順番」のほうです。

3. 代理は媒介の2倍

4. 賃貸借は「合計で借賃1か月分+税」が枠

貸主・借主の双方から受け取る合計が、借賃の1か月分+消費税。媒介でも代理でも枠は同じです。

5. 令和6年7月改正の空家特例(最重要の改正論点)

令和6年7月1日施行。旧制度から数字が入れ替わっているため、古い教材のまま覚えていると失点します。どちらも現地調査等の費用を勘案するもので、媒介契約の締結に際してあらかじめ依頼者に説明し、合意しておくことが必要です。

― 特例① 低廉な空家等(売買・交換)―
  • 対象:税抜代金 800万円以下の宅地建物(旧:400万円以下)
  • 上限:30万円+税=33万円(旧:通常の報酬+現地調査等の費用の合計で18万円)
  • 売主・買主のどちらからも受領できる(旧:売主のみ)
  • 代理にも適用(上限は媒介特例額の2倍以内)

旧制度の「通常の報酬額に費用を加算する」方式は改正で廃止されました。要件を満たせば、通常の速算式で計算した額を上回っても33万円まで受領できます(費用相当額を上回る報酬を禁ずる趣旨ではないとされています)。「限度額はいくらか」を問われたら33万円です。

― 特例② 長期の空家等の貸借(新設)―
  • 対象:長期の空家等の貸借(概ね1年超、居住者不在の戸建・分譲マンション空室など)
  • 上限:通常(借賃1か月分)+費用で 借賃2か月分+税
  • 通常を超えて増額できるのは貸主から受ける分。借主からは通常どおりで、居住用建物は事前の承諾が無ければ0.5か月分+税、承諾があるとき・居住用以外は1か月分+税まで(双方の合計が借賃2か月分+税を超えられない)

6. ひっかけポイント

― ここで落とされる ―
  • 居住用貸借の0.5か月と、長期空家特例の2か月を混同しない。
  • 承諾のタイミングは「媒介の依頼を受けるまで」。契約時の承諾では遅い。
  • 権利金を売買代金とみなす特例は、居住用建物では使えない
  • 上限額は「超えて受領できない」だけで、少なく受け取るのは自由
  • 通常の広告費・案内費は報酬に含まれる。依頼者の特別の依頼による広告費や出張費の実費だけが別途受領できる。

なお、宅建業者は事務所ごとに、公衆の見やすい場所へ報酬額を掲示する義務があります(報酬額の掲示義務)。計算とセットで問われることがあります。

※本ページは学習用のまとめです。令和8年度試験の法令基準日は令和8年4月1日です。法令・告示は改正されることがあるため、受験にあたっては最新の公式情報をご確認ください。監修:宅建久保田塾(久保田充秋)。