宅建「無権代理」相手方は何を主張できるか
無権代理の問題は、相手方Cが何をできるかを3つに分けて聞いてきます。そして3つとも、必要な要件が違います。ここを一緒くたに覚えているうちは点が安定しません。上のチェッカーで事例を回しながら、下の表の違いを固めてください。
1. 3つの手段と、それぞれの要件
| 手段 | 条文 | 相手方Cに必要なこと |
|---|---|---|
| 催告権(本人に追認するか迫る) | 114条 | 善意・悪意を問わない(悪意でもできる) |
| 取消権(契約をなかったことに) | 115条 | 善意であること(過失は問わない) |
| 無権代理人の責任追及 | 117条 | 善意・無過失であること |
右へ行くほど要件が重くなる、と覚えると整理しやすくなります。催告は誰でもできる/取消しは善意なら足りる/責任追及は無過失まで要る。この3段階です。
2. 催告権のしくみ
相手方は本人に対し、相当の期間を定めて追認するかどうかの確答を催告できます。期間内に確答がなければ、追認を拒絶したものとみなされます。放っておくと契約が成立してしまうのではなく、逆に拒絶とみなされる点に注意してください。
3. 117条の責任——2つの例外
無権代理人の責任追及は、原則として相手方が善意・無過失であることが必要ですが、次の2点が繰り返し問われます。
― 差がつく2点 ―
- 無権代理人自身が、代理権がないことを知っていた場合は、相手方に過失があっても責任を追及できます。悪いのは明らかに無権代理人の側だからです。
- 無権代理人が制限行為能力者であった場合は、責任を追及できません。制限行為能力者を保護する制度の趣旨が優先します。
4. 表見代理との関係
相手方が善意・無過失であれば、表見代理が成立して本人に責任を追及できる場合があります。表見代理が成立しないときに、無権代理人への責任追及が問題になる——という順序で押さえておくと、事例のどこを見ればよいかが分かります。
― ひっかけの型 ―
- 「悪意の相手方は催告もできない」——催告は善意・悪意を問いません。
- 「取消しには無過失が必要」——取消しは善意で足り、過失は問いません。
- 「相手方に過失があれば、常に117条の責任を追及できない」——無権代理人が悪意なら追及できます。
- 「催告に確答がなければ追認したものとみなす」——拒絶したものとみなされます。
※本ページは学習用のまとめです。令和8年度試験の法令基準日は令和8年4月1日です。法令・判例は改正等により変わることがあるため、受験にあたっては最新の公式情報をご確認ください。監修:宅建久保田塾(久保田充秋)。