宅建「錯誤」の要件と、取り消せない場合
錯誤は毎年のように顔を出す論点ですが、聞かれ方はほぼ決まっています。取り消せるかどうかを、要件を順番に潰して判定する——それだけです。上のチェッカーでランダムな事例を判定しながら、この順番を体に入れてください。
1. まず押さえる:改正で「無効」から「取消し」になった
かつて錯誤の効果は無効でしたが、現在は取り消すことができるに改められています。古い年度の過去問や古い教材には「無効」と書かれているので、そのまま覚えると失点します。本サイトの過去問は令和8年度試験の基準日(令和8年4月1日)に合わせて改題済みです。
2. 取り消せるための3つの要件
| 順番 | 要件 | 内容 |
|---|---|---|
| ① | 重要な錯誤 | その錯誤がなければ意思表示をしなかったといえる程度に重要であること |
| ② | 基礎事情の表示 | 動機の錯誤の場合、その事情が法律行為の基礎とされていることが表示されていたこと(95条2項) |
| ③ | 重過失がない | 表意者に重大な過失がないこと(95条3項) |
②が問われるのは「動機の錯誤」のときだけです。意思と表示が食い違っているだけの表示の錯誤(言い間違い・書き間違いなど)なら、動機の表示は問題になりません。事例を読んだら、まずどちらの型かを見分けてください。
3. 重過失があっても取り消せる2つの例外
ここが最も差がつくところです。表意者に重過失があると原則として取り消せませんが、次のいずれかにあたれば例外的に取り消せます(95条3項)。
- 相手方が、その錯誤を知っていた、または重大な過失によって知らなかったとき(3項1号)。相手が分かっていたのなら、保護する必要がないという発想です。
- 相手方も同一の錯誤に陥っていたとき=共通錯誤(3項2号)。二人とも間違えていたのだから、表意者だけを縛る理由がありません。
4. 第三者との関係
錯誤による取消しは、善意でかつ過失がない第三者には対抗できません(95条4項)。取り消せることと、取り消した結果を第三者に主張できることは別の問題です。設問がどちらを聞いているのかを読み違えないでください。
― ひっかけの型 ―
- 「錯誤による意思表示は無効である」——現在は取消し。旧法の記述です。
- 「表意者に重過失があれば、およそ取り消せない」——上の2つの例外を落としています。
- 「動機の錯誤でも、表示がなくても取り消せる」——動機は表示されていることが必要です。
※本ページは学習用のまとめです。令和8年度試験の法令基準日は令和8年4月1日です。法令・判例は改正等により変わることがあるため、受験にあたっては最新の公式情報をご確認ください。監修:宅建久保田塾(久保田充秋)。