心裡留保・虚偽表示・錯誤・詐欺。意思表示の“四きょうだい”は、顔は似ていても、第三者の守り方がそれぞれ違う。今日の題材は 令和7年・問3。一気に整理してしまいましょう。
「先輩、意思表示のところ、どれがどうだか、こんがらがります……」
「よし、四きょうだいを順に並べてやる。“誰が・どんなときに守られるか”だけを見ろ」と久保田さんはペンを取った。
「本心じゃないのに『売る』と言う。冗談みたいなものだ。原則は有効。ただし、相手が『冗談だ』と知っていた(悪意)か、知ることができた(有過失)ときは無効になる」
「つまり、相手が善意でも、不注意で気づけたはずなら無効……?」
「そうだ。『相手に過失があっても有効』というのは誤り。過失があれば無効だ」
「相手と通じて、ウソの売買をでっち上げる。当事者間では無効。でも、それを信じて取引に入った第三者がいたら? 善意の第三者には、無効を対抗できない」
「この第三者は、無過失まで必要ですか?」
「いらない。善意でありさえすればいい。だから『過失があれば対抗できる』は誤りだ。少々うかつでも、善意なら守られる」
「重要な勘違いで意思表示をしてしまった。ここが、改正で変わった大事なところだ。昔は“無効”だったが、今は“取り消すことができる”」
「あ、よく出る! 『無効』って書いてあったら……」
「それだけで誤りだ。錯誤は『取消し』。なお、その取消しは善意無過失の第三者には対抗できない――この結論部分は正しいんだがな」
「だまされてした意思表示は、取り消すことができる。そして、取消し前の善意無過失の第三者には、取消しを対抗できない。これは正しい」
「四男だけ、ちゃんとしてる……」
「そういうことだ。令和7年・問3では、長男(心裡留保)・次男(虚偽表示)・三男(錯誤)の3つが誤り。正しいのは四男(詐欺)だけ。だから答えは『誤っているものは三つ』だ」
桜井くんは手帳に、四きょうだいをまとめた。
・虚偽表示:善意の第三者に対抗できない(無過失は不要)。
・錯誤:無効ではなく“取消し”。
・詐欺:取消し前の善意無過失の第三者に対抗できない。
この物語の“宅建ポイント”
- 心裡留保は原則有効。相手が悪意又は有過失のときに無効(過失があっても有効、は誤り)。
- 虚偽表示の無効は善意の第三者に対抗できない。第三者は善意で足り、無過失は不要(過失があれば対抗できる、は誤り)。
- 錯誤は「無効」ではなく「取消し」(平成29年改正)。善意無過失の第三者に取消しを対抗できない。
- 詐欺は取消しでき、取消し前の善意無過失の第三者に対抗できない(=令和7年問3で唯一“正しい”肢)。
この話のもとになった問題令和7年・問3(権利関係/意思表示)。四きょうだいのうち、誤りは心裡留保・虚偽表示・錯誤の三つ。正しいのは詐欺だけです。
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