街並みをそろえる建築協定のある分譲地。そこの土地を買った人が「自分は協定に署名していないから、縛られない」と言ったら――? 思わずうなずきたくなりますが、宅建の答えは逆です。今日の題材は 令和7年・問18。桜井くんが、あやうく「そうですね」と言いかけました。
「先輩、さっきのお客さん、あの分譲地の中古住宅をかなり気に入ってました」
「ああ、街並みをそろえる建築協定がある区域だな。外壁の色や高さのルールがある」
「それなんですけど、お客さんが『この協定、私が結んだわけじゃないですよね。買ったあとは自由に建て替えできますよね?』って。僕、つい『ええ、たぶん大丈夫ですよ』って言いかけて……」
「おっと」久保田さんが足を止めた。「そこは、はっきり“いいえ”だ」
「え、縛られるんですか? その人、協定にサインしてないのに」
「建築協定は、区域内の土地所有者“全員の合意”で決めて、特定行政庁の認可を受けて公告される。ここまではいい。問題は、そのあとだ。公告のあった日“以後”に、その区域の土地の所有者等になった人にも、協定の効力が当然に及ぶ――これを承継効という(法75条)」
「当然に……? あとから買った人が、自分で合意し直さなくても?」
「そう。『全員で改めて合意したときに限り』効く、なんて条件はつかない。買った瞬間、もう縛られている。試験でも、そこを『全員で合意したときに限り』とすり替えて誤りの肢にしてくる」
「なんで、あとから来た人まで? ちょっと厳しくないですか」
「考えてみろ。売買のたびに協定がリセットされたら、街並みのルールなんて一晩で崩れる。だから協定は、人ではなく“土地”にくっついて効くイメージなんだ。持ち主が代わっても、協定は生き続ける」
「なるほど……。じゃあ僕がさっき『大丈夫ですよ』って言ってたら」
「お客さんは『自由に建て替えられる』と思い込んで買う。あとで協定違反だと言われて大トラブルだ。だから建築協定は、重要事項説明できちんと伝える。区域内の物件なら、協定がある旨とその概要を説明する義務がある」
「危なかった……。『署名してないから関係ない』は、お客さんの気持ちとしては分かるけど、法律は逆なんですね」
「そこを分かって案内できるのが、プロの仲介だ」
成立 … 区域内の土地所有者等 全員の合意 → 特定行政庁の認可・公告
効力(法75条)… 公告日“以後”に所有者等になった人にも 当然に及ぶ(承継効)
× 「全員で改めて合意したときに限り及ぶ」…ではない
桜井くんは、手帳に大きく書いた。
・「署名してないから縛られない」は通用しない。
・建築協定がある区域の物件は、重要事項説明でその概要を必ず説明する。
この物語の“宅建ポイント”
- 承継効(法75条):認可の公告があった日以後に、建築協定区域内の土地の所有者等となった者にも、協定の効力が当然に及ぶ。「全員で合意したときに限り」は誤り。
- 成立の流れ:建築協定は、区域内の土地所有者等の全員の合意で定め、特定行政庁の認可・公告を受けて効力を生じる。
- 営業の急所:建築協定は宅建業法の重要事項説明の対象。区域内の物件では、協定の存在とその概要を必ず説明する。
- 令和7年・問18は「正しいもの」を選ぶ問題。正しい肢は用途規制(床面積1,000㎡の飲食店は、第一種・第二種低層住居専用地域、第一種中高層住居専用地域、工業専用地域、田園住居地域に建てられない)。建築協定の肢は“誤り”として出題されました。
この話のもとになった問題令和7年・問18(法令上の制限/建築基準法・建築協定)。「あとから買った人にも及ぶ」という承継効が、そのままひっかけの急所です。
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