宅建士として登録されると、住所や勤務先が変わるたびに「届出」が要ります。似た名前の手続きが多く、変更の登録・書換え交付・死亡等の届出は混同しやすい定番。誰が・いつまでに・どこへ、を桜井くんと整理しましょう。
「先輩、宅建士のAさんが、引っ越して住所が変わって、しかも別の会社に転職したそうです。何か手続き要りますよね?」
「要る。まず変更の登録だ。宅建士の登録簿に載っている事項が変わったら、遅滞なく変更の登録を申請する。載っているのは①氏名 ②住所 ③本籍 ④勤務先(宅建業者)の商号・名称 ⑤その免許証番号。Aさんは住所も勤務先も変わったから、両方が変更の対象だ」
「勤務先の“事務所の所在地”はどうですか? そこも変わるかも」
「いいところに気づいた。勤務先の事務所の所在地は、宅建士の登録事項に入っていない。だから所在地が変わっただけでは、宅建士の変更の登録は要らない。載っているのは商号・名称と免許証番号だ。ここはひっかけで出る」
「氏名・住所・本籍・勤務先の商号名称・免許証番号。所在地はナシ、と。届け先は?」
「自分が登録を受けている知事だ。転職して勤務先が変わっても、届けるのは“登録した知事”のまま。——それと、住所変更でもう一つやることがある。桜井、宅建士証には住所も書いてあるだろう?」
「あ、住所が変わったら宅建士証も直さないと」
「そう。氏名か住所を変えたときは、変更の登録とあわせて“宅建士証の書換え交付”も申請する。逆に言えば、書換え交付が要るのは氏名・住所の変更のときだけ。本籍や勤務先が変わっても、宅建士証には出てこないから書換えは不要だ」
「変更の登録は5項目、書換え交付は氏名・住所の2つだけ、ですね。……あの、もしAさんが亡くなったら?」
「そこは別の手続き、死亡等の届出だ。宅建士が死亡したり、一定の欠格事由に当たることになったら、登録先の知事に届け出る。期限は原則30日以内。ただし死亡の場合は、相続人が“死亡を知った日”から30日以内だ。『死亡した日から』じゃない、というのが急所」
「誰が届けるんですか? 本人はもういないですよね」
「死亡なら相続人。破産手続開始の決定なら本人が、その日から30日以内。心身の故障で事務を適正に行えなくなったときは、本人・法定代理人・同居の親族が30日以内に届け出る。“自分のことは自分で、亡くなったら相続人が”とイメージしろ」
桜井くんは、手続きを3つに分けて書いた。
・勤務先の“事務所の所在地”は登録事項に入っていない(変更の登録は不要)。
・書換え交付が要るのは、氏名か住所を変えたときだけ。
・死亡等の届出=原則30日以内。死亡は相続人が“知った日”から。破産は本人。
| 手続き | いつ・誰が |
|---|---|
| 変更の登録 | 氏名・住所・本籍・勤務先の商号名称・免許証番号が変わったとき、本人が遅滞なく |
| 宅建士証の書換え交付 | 氏名・住所を変えたときのみ、変更の登録とあわせて申請 |
| 死亡等の届出 | 死亡・欠格事由該当のとき、原則30日以内(死亡は相続人が知った日から30日以内/破産は本人) |
「先輩、変更の登録は“遅滞なく”、死亡等の届出は“30日以内”。期限の言い方が違うんですね」
「そこも狙われる。変更の登録は“遅滞なく”、死亡等の届出は“30日以内”。入れ替えた肢はバツだ。この違いだけでも、けっこう点が取れるぞ」
この物語の“宅建ポイント”
- 宅建士の登録事項(氏名・住所・本籍、勤務先の宅建業者の商号・名称・免許証番号)に変更があったときは、遅滞なく変更の登録を申請しなければならない。勤務先の事務所の所在地は登録事項ではない。
- 氏名または住所を変更したときは、変更の登録とあわせて宅建士証の書換え交付を申請する。書換え交付が必要なのは氏名・住所の変更の場合に限られる。
- 宅建士が死亡し、または一定の欠格事由に該当したときは、原則その日から30日以内に、登録先の知事に届け出なければならない(死亡等の届出)。
- 死亡の場合は相続人が死亡を知った日から30日以内、破産手続開始の決定の場合は本人が、心身の故障の場合は本人・法定代理人・同居の親族が届け出る。
この論点を、肢で確かめる変更の登録・死亡等の届出は「対象・期限・届出義務者」を入れ替えて問う定番。肢別ドリルの「宅建業法 → 宅地建物取引士」で、〇×を繰り返して整理を固めましょう。
肢別ドリルで解く →