開業に1000万円は、正直きつい。そこで多くの会社が選ぶのが保証協会という“もう一つの道”です。ぐっと少ないお金で始められる仕組み。前回の営業保証金と対で覚えると強い論点です。桜井くんの独立相談のつづきから。
― 「1000万円は無理です」の続き ―
「先輩、開業に1000万円なんて、とても用意できません……」
「だよな。だから道はもう一つある。宅地建物取引業保証協会に加入して“社員”になれば、営業保証金の供託そのものが要らなくなる」
「供託しなくていい! いくら払うんですか?」
「協会に納めるのは弁済業務保証金分担金。主たる事務所60万円、従たる事務所ごとに30万円だ。本店だけなら60万。1000万に比べたら桁が違うだろう」
「全然ちがいます……。いつ払うんですか?」
「協会に加入しようとする日までに、その分担金を協会に納付する。納めたら、あとは協会がまとめて供託所に“弁済業務保証金”を供託してくれる。お客さんが取引で損害を受けたときは、協会を通じてそこから還付される仕組みだ」
「じゃあ、いくつも協会に入れば安心ですか?」
「いや、社員は一つの協会にしか加入できない。二重には入れない。——それと、もし還付でお金が使われたら、協会から通知を受けた日から2週間以内に“還付充当金”を納付して穴を埋める。ここは営業保証金とよく似ているな」
桜井くんは、前回の営業保証金のメモと並べて書いた。
営業保証金 と 保証協会(分担金)
| 営業保証金 | 保証協会(分担金) | |
|---|---|---|
| 本店 | 1000万円 | 60万円 |
| 支店ごと | 500万円 | 30万円 |
| 納める先 | 供託所に供託 | 協会に納付(協会が供託) |
| タイミング | 供託・届出後に開業 | 加入日までに納付 |
― 桜井くんの手帳 ―
・保証協会に入れば、営業保証金の供託は不要。・分担金は 本店60万+支店ごと30万。加入日までに協会へ納付。
・社員になれるのは一つの協会だけ(二重加入ダメ)。
・還付されたら、通知から2週間以内に還付充当金を納付。
この物語の“宅建ポイント”
- 宅地建物取引業保証協会の社員となった宅建業者は、営業保証金を供託する必要がない。
- 弁済業務保証金分担金は、主たる事務所60万円、従たる事務所ごとに30万円。加入しようとする日までに協会に納付する。納付を受けた協会が、弁済業務保証金を供託所に供託する。
- 社員は、一の保証協会の社員となったときは、他の保証協会の社員となることができない。加入できる協会は一つだけ。
- 取引の相手方は、社員との取引で生じた債権について、営業保証金に相当する額の範囲で還付を受けられる(宅建業者は除く)。
- 還付が行われたときは、社員は協会からの通知を受けた日から2週間以内に、還付充当金を協会に納付しなければならない。
この論点を、肢で確かめる保証協会は営業保証金と“数字の対比”で問われる定番。肢別ドリルの「宅建業法 → 保証協会」で、〇×を繰り返して60万/30万と期限を固めましょう。
肢別ドリルで解く →※本コラムは学習用の読み物です。保証協会・弁済業務保証金の制度は法改正により変わることがあります。受験・実務にあたっては最新の宅建業法をご確認ください。