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COLUMN / 宅建コラム

仲介手数料は、速算式で決まる
― 桜井くんと報酬の制限

宅建業法・報酬の制限2026年7月29日

「この売買、仲介手数料はいくらですか?」——お客さんに必ず聞かれる質問。宅建業者が受け取れる報酬には、法律で上限が決まっています。売買は速算式で一発。代理・貸借にはそれぞれの縛りがある。桜井くんの見積もりから、計算のルールを身につけましょう。

― 売買の見積もりを作りながら ―

「先輩、この土地付き住宅、代金3,000万円で媒介です。手数料はいくらもらえるんでしたっけ?」

「売買の媒介は速算式で出せる。代金が400万円を超えるなら、代金×3%+6万円。3,000万円なら90万円+6万円で96万円だ。ここにうちは課税事業者だから消費税を上乗せして、96万円×1.1=105万6,000円。これが依頼者一人から受け取れる上限だ」

「1.1を掛けるんですね。ところで代金って、税込で計算していいんですか?」

「そこが落とし穴だ。報酬計算の基礎は“税抜”の本体価格建物は税抜に引き直し、土地はそもそも非課税。税込の代金をそのまま使うと、上限を計算し間違えるぞ」

「なるほど……。じゃあ、この物件を“代理”で扱ったら、報酬も倍もらえます?」

売買の代理は、媒介の2倍が上限だ。ただし気をつけろ。代理と媒介の業者が両方関与しても、双方が受け取る報酬の“合計”は、媒介報酬の2倍まで。片方が代理で満額の2倍を取ったら、もう片方は取れない。合計に天井がある」

「合計で2倍まで、なんですね。貸借だと、また違うんですか?」

「違う。貸借は、依頼者“双方”から受け取る合計で、借賃1か月分(+消費税)が上限だ。特に居住用建物の貸借は、原則として一方の依頼者から受け取れるのは借賃0.5か月分(+税)まで。双方から0.5か月ずつ、が基本形だな」

「片側から1か月分まるごと、は取れない?」

「原則ダメだ。依頼を受けるときに承諾があれば配分は変えられる——たとえば貸主から多めに——が、双方合計が1か月分を超えることはできない。承諾は“配分の変更”であって“上限の引き上げ”じゃない。ここは頻出だ」

「居住用じゃない、店舗や事務所の貸借は?」

「合計1か月分の上限は同じだが、権利金(返還されない金銭)の授受があれば、その権利金を“売買代金”とみなして速算式で計算できる。借賃基準より高くなることが多い。それと、依頼者の特別な依頼で行った遠隔地の現地調査などの実費は、承諾があれば報酬とは別にもらえる。空き家など低廉な物件(売買代金800万円以下)の売買・交換では、令和6年の改正で、通常の報酬に現地調査等の費用を加えて、売主から30万円(+消費税)を上限に受け取れる特例がある。上乗せできるのは売主側だけで、買主側にはこの特例はない」

桜井くんは、見積書の横に計算のルールを書き留めた。

― 桜井くんの手帳 ―
・売買の媒介:400万円超は 代金×3%+6万円。課税業者は×1.1。
・計算の基礎は税抜の本体価格(建物は税抜へ、土地は非課税)。
・売買の代理は媒介の2倍。代理+媒介でも双方合計は媒介の2倍まで。
・貸借は双方合計で借賃1か月分。居住用は原則一方0.5か月分。
・承諾は配分を変えるだけ。双方合計1か月分の上限は超えられない。
・居住用以外の権利金は売買代金とみなして計算可。実費は別途(承諾要)。
・低廉な空家等(800万円以下)の売買:売主から30万円+税まで上乗せ可(R6改正・売主側のみ)。
売買・交換の媒介報酬の速算式(消費税別)
代金(税抜の本体価格)媒介報酬の上限
200万円以下の部分代金×5%
200万円超〜400万円以下の部分代金×4%+2万円
400万円超代金×3%+6万円
受け取り方による上限
取引・立場上限
売買の媒介(一方から)速算式の額(+消費税)
売買の代理媒介の2倍(代理+媒介でも双方合計で2倍まで)
貸借(双方合計)借賃1か月分(+消費税)
居住用建物の貸借(一方から)原則 借賃0.5か月分(+消費税)

この物語の“宅建ポイント”

  • 売買・交換の媒介報酬は速算式で計算する。代金400万円超は「代金×3%+6万円」。消費税の課税事業者は、これに消費税相当額を上乗せできる。
  • 報酬計算の基礎は税抜の本体価格。建物は税抜価格に引き直し、土地は非課税。税込代金をそのまま用いない。
  • 売買の代理の上限は媒介の2倍。代理と媒介がともに関与しても、双方が受け取る報酬の合計は媒介報酬の2倍を超えられない。
  • 貸借は、依頼者双方から受け取る合計で借賃1か月分(+消費税)が上限。居住用建物の貸借は、原則として一方の依頼者から借賃0.5か月分(+消費税)まで。依頼時の承諾で配分は変えられるが、双方合計1か月分の上限は超えられない。
  • 居住用以外の貸借で権利金(返還されない金銭)があるときは、権利金を売買代金とみなして計算できる。依頼者の特別の依頼による現地調査等の実費は、承諾があれば報酬とは別に受領できる。
  • 低廉な空家等(売買代金800万円以下)の売買・交換では、令和6年の改正により、通常の報酬に現地調査等の費用を加えて、売主から30万円(+消費税)を上限に受け取れる特例がある。上乗せできるのは売主側のみで、買主側には適用されない。

この論点を、肢で確かめる報酬は「速算式・消費税・代理2倍・貸借1か月」を組み合わせて問う計算の定番。肢別ドリルの「宅建業法 → 報酬の制限」で、〇×を繰り返して上限の出し方を固めましょう。

肢別ドリルで解く →
※本コラムは学習用の読み物です。報酬の上限・特例(低廉な空家等の特例の金額など)や消費税の扱いは法改正・告示改正により変わることがあります。受験・実務にあたっては最新の宅建業法・報酬告示をご確認ください。