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COLUMN / 宅建コラム

事務所に置くもの、掲げるもの
― 桜井くんと標識・帳簿・従業者名簿

宅建業法・業務上の規制2026年7月30日

お客さんには見えにくいけれど、宅建業者が“事務所でやっておくべきこと”があります。標識・帳簿・従業者名簿・従業者証明書。地味ですが、数字と要否がきれいに問われる得点源です。似た者どうしを混同しないよう、桜井くんと仕分けましょう。

― 事務所の整備を任された桜井くん ―

「先輩、事務所の入口に、免許証を額に入れて飾っておきましたよ。堂々としてていいでしょう?」

「気持ちは分かるが、飾るべきは免許証じゃない。事務所等ごとに“標識”を、公衆の見やすい場所に掲示するのが宅建業法の義務だ。免許証そのものを掲示する義務はない。ここは逆に出されやすい」

「標識……。事務所以外にも要りますか?」

「要る。案内所や、分譲の物件所在場所などにも標識は必要だ。契約や申込みの受付をしない案内所でも掲示する。——次は帳簿だ。桜井、業務に関する“帳簿”は、事務所ごとに備えて、取引が“あったつど”記載する。まとめて月末に、はダメだぞ」

「取引のたびに書く……。保存期間は?」

帳簿は各事業年度の末日に閉鎖して、閉鎖後“5年間”保存。ただし例外がある。自ら売主となる新築住宅に係るものは“10年間”だ。媒介の新築住宅は5年のままだから、そこも引っかけになる」

「帳簿は、お客さんから『見せて』と言われたら見せるんですか?」

「そこが超重要だ。帳簿には閲覧させる義務はない閲覧させる義務があるのは“従業者名簿”のほうだ。この2つを入れ替える肢が本当によく出る」

「従業者名簿……。それも事務所ごとですか?」

「そうだ。従業者名簿は事務所ごとに備え、取引の関係者から請求があれば閲覧させる保存は、最終の記載をした日から“10年間”。辞めた従業者のぶんも消さずに残す」

「帳簿の10年(自ら売主の新築住宅)と、名簿の10年(最終記載から)、両方10年ですね……ややこしい」

「起算点が違うから、そこは丁寧にな。最後に従業者証明書従業者には証明書を携帯させ、取引の関係者から請求があれば提示する宅建士証を持っていても、従業者証明書の代わりにはならない。それに、非常勤の役員や、一時的に手伝う人も“従業者”に含まれるから、携帯させろ」

桜井くんは、置くもの・掲げるものを一覧にした。

― 桜井くんの手帳 ―
・標識=事務所等ごとに掲示(案内所・分譲地にも)。免許証の掲示義務はない。
・帳簿=事務所ごと・取引のつど記載。閉鎖後5年(自ら売主の新築住宅は10年)。閲覧義務なし。
・従業者名簿=事務所ごと・最終記載から10年保存。請求があれば閲覧させる。
・従業者証明書=携帯させる/請求で提示。宅建士証では代えられない。非常勤役員・一時補助者も対象。
・帳簿も名簿も、電磁的記録での保存が認められる。
事務所に備える・掲げるもの
ものルール閲覧させる義務
標識事務所等ごとに公衆の見やすい場所に掲示(免許証の掲示義務はない)
帳簿取引のあったつど記載。閉鎖後5年間(自ら売主の新築住宅は10年間)保存なし
従業者名簿事務所ごとに備え、最終記載から10年間保存あり(請求があれば)
従業者証明書従業者に携帯させる(宅建士証では代えられない)請求があれば提示

この物語の“宅建ポイント”

  • 宅建業者は、事務所等ごとに公衆の見やすい場所に標識を掲示しなければならない。免許証そのものを掲示する義務はない。案内所や分譲の物件所在場所にも標識が必要。
  • 業務に関する帳簿を事務所ごとに備え、取引のあったつど記載する。各事業年度末に閉鎖し、閉鎖後5年間(自ら売主となる新築住宅に係るものは10年間)保存する。帳簿を閲覧させる義務はない。
  • 従業者名簿を事務所ごとに備え、最終の記載をした日から10年間保存する。取引の関係者から請求があれば閲覧させなければならない。
  • 従業者には従業者証明書を携帯させ、請求があれば提示させる。宅地建物取引士証は従業者証明書に代えられない。非常勤の役員や一時的に事務を補助する者も従業者に含まれる。
  • 帳簿・従業者名簿は、一定の要件のもとで電磁的記録による保存も認められる。

この論点を、肢で確かめる標識・帳簿・従業者名簿は「5年/10年」「閲覧させるのはどっち」を突く定番。肢別ドリルの「宅建業法 → 業務上の規制」で、〇×を繰り返して数字と閲覧義務を固めましょう。

肢別ドリルで解く →
※本コラムは学習用の読み物です。標識・帳簿・従業者名簿の記載事項や保存期間等は法改正により変わることがあります。受験・実務にあたっては最新の宅建業法・施行規則をご確認ください。