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COLUMN / 宅建コラム

契約書に貼る一枚と、その消し方
― 桜井くんと印紙税

税その他・印紙税2026年7月30日

売買契約書に、ぺたりと貼る収入印紙。あの一枚が印紙税です。「誰が払う」「いくら貼る」「どう消す」——地味ですが、免除科目でない受験生には毎年の得点源。桜井くんの契約書づくりから、急所を拾いましょう。

― 売買契約書の作成中 ―

「先輩、この売買契約書、印紙は……売主と買主、どっちが払うんですか?」

「印紙税は“課税文書を作成した者”が納税義務者だ。契約書を売主・買主が共同で作れば、双方が連帯して負う。ちなみに代理人が自分の名義で作った文書は、その代理人が納税義務者になる。“作った人”が基準だ」

「金額はどう決まるんですか?」

契約書に書かれた“記載金額”で税額が変わる。ここで大事な引っかけがある。記載金額のない契約書は200円。そして——契約金額を“減額”する変更契約書は、『記載金額のない契約書』扱いで200円だ。逆に“増額”する変更契約書は、増えた額(増加額)が記載金額になる。減額はゼロ扱い、増額は差額が効く、と覚えろ」

「減らすときと増やすときで、扱いが逆なんですね……。あ、この案件、売主が“国”ですけど、印紙はどうなります?」

「いいところを突いた。国や地方公共団体などが作成する文書は非課税だ。しかも共同作成のときが厄介でな。国等と、国等以外の者(うちのお客さん)が2通作って1通ずつ持つ場合、国等が保存する文書は“国等以外が作成したもの”とみなされて課税、国等以外の者が保存する文書は“国等が作成したもの”とみなされて非課税になる。“誰が持つか”で逆になるんだ」

「ややこしい……。ところで貼った印紙、そのままでいいんですか?」

「ダメだ。印紙は“消印”しないといけない。文書と印紙の彩紋にかけて、判で押すか署名する。この消印は作成者本人だけでなく、その代理人や使用人(従業者)の印章・署名でもよい。だから担当のお前が消してもいい」

「もし貼り忘れたり、消し忘れたら?」

過怠税を取られる。貼らずに税務調査で判明すると、本来の印紙税額の3倍(本税+その2倍)。調査前に自分から申し出れば1.1倍に軽くなる。消印を忘れた場合は、消さなかった印紙の額と同額の過怠税だ。ちなみに領収書(受取書)は、受取金額が5万円未満なら非課税だから覚えておけ」

桜井くんは、要点を手帳に書きとめた。

― 桜井くんの手帳 ―
・納税義務者=課税文書を作成した者(代理人名義なら代理人)。
・記載金額のない契約書は200円。減額の変更契約書も記載金額なし扱い(200円)。増額は増加額が記載金額。
・国等が作成する文書は非課税。共同作成は“国等以外が保存する分”が非課税。
・消印は作成者・代理人・従業者の印章か署名でOK。
・過怠税:不納付が調査で判明→3倍(自主申告は1.1倍)、消印なし→印紙と同額。受取書は5万円未満なら非課税。
記載金額をめぐる急所
文書記載金額の扱い
記載金額のない契約書一律200円
契約金額を減額する変更契約書記載金額のない契約書として扱う(200円)
契約金額を増額する変更契約書増加額が記載金額
交換契約書(双方の価額の記載あり)いずれか高い方の価額が記載金額

この物語の“宅建ポイント”

  • 印紙税の納税義務者は、課税文書を作成した者。共同作成なら連帯して納付し、代理人が自己の名義で作成した文書はその代理人が納税義務者となる。
  • 税額は記載金額により変わり、記載金額のない契約書は200円。契約金額を減額する変更契約書は「記載金額のない契約書」として扱われ、増額する変更契約書は増加額が記載金額となる。
  • 国・地方公共団体等が作成する文書は非課税。国等と国等以外の者が共同作成した文書は、国等が保存するものが課税、国等以外の者が保存するものが非課税となる。
  • 印紙は消印が必要で、作成者本人のほか、その代理人・使用人その他の従業者の印章または署名によってもよい。
  • 印紙税を納付しなかったときは過怠税が課される(調査で判明した場合は本来の税額の3倍、自主申告は1.1倍、消印を怠った場合は消さなかった印紙の額と同額)。売上代金の受取書は記載金額5万円未満なら非課税。

この論点を、肢で確かめる印紙税は「誰が納める」「記載金額の扱い」「消印・過怠税」を突く定番。肢別ドリルの「税その他 → 印紙税」で、〇×を繰り返して数字と例外を固めましょう。

肢別ドリルで解く →
※本コラムは学習用の読み物です。印紙税の税額・非課税の取扱いは税制改正により変わることがあります。受験・実務にあたっては最新の印紙税法をご確認ください。