建物は、勝手に建てて勝手に使えるわけではありません。着工の"前"に建築確認を受け、完成したら検査を受けて、特殊建築物などは使う"前"に検査済証が要る。法令上の制限で毎年問われる建築確認の手続を、時間の流れに沿って桜井くんと追いましょう。
「先輩、この建物、まだ工事中なんですけど、建てるのに何か手続きが要るんですよね?」
「要る。一定の建築物は、工事に着手する"前"に建築確認を受けなければならない。確認をするのは建築主事等、または指定確認検査機関。確認が下りると"確認済証"が交付される」
「どんな建物が対象なんですか?」
「大きく三つの入口がある。まず特殊建築物で、その用途に供する部分の床面積が一定規模を超えるもの——共同住宅・店舗・ホテル・学校みたいに、多くの人が使う建物だ。次に一定規模以上の大規模な建築物。そして都市計画区域・準都市計画区域などの内で建築する、一般の建築物。このどれかに当たれば確認が要る」
「新築だけですか? 増築や修繕は?」
「新築に限らない。増築・改築・移転や、大規模の修繕・模様替も対象になることがある。さらに、特殊建築物への一定の"用途変更"も確認が要る場合がある。たとえば床面積が基準を超える建物を、確認の要る特殊建築物の用途に変えるようなときだな」
「規模の数字は、覚えなくていいんですか?」
「そこは慎重にな。特殊建築物は"その用途部分の床面積が200㎡を超えるもの"が一つの目安だが、大規模建築物の階数・面積・高さといった数値は改正が入りやすい。数字を丸暗記で当てにいくより、『特殊建築物・大規模建築物・区域内の一般建築物という"入口"』と『着工前という"タイミング"』をまず固めるのが得策だ。細かい規模数値は、最新の条文で押さえ直せ」
「なるほど。建てたあとは、そのまま使えるんですか?」
「ここがもう一つの山だ。工事が完了したら、建築主事等の"完了検査"を受け、"検査済証"の交付を受ける。そして特殊建築物などは、原則として検査済証の交付を受けた"後"でなければ使用できない。着工前の確認と、使用前の検査済証。"前"が二回あるわけだ」
「検査済証が出るまで、まったく使えない?」
「例外がある。特定行政庁が、安全上・防火上・避難上支障がないと認めたとき等は、検査済証の交付前でも"仮に"使用できる(仮使用の認定等)。原則は"交付後"、例外で"仮使用"——この組み合わせで出る」
桜井くんは、時間の流れを手帳に描いた。
・対象の入口=①特殊建築物(用途部分の床面積が一定規模超/目安200㎡超) ②一定規模以上の大規模建築物 ③区域内で建てる一般建築物。
・増改築・移転・大規模の修繕/模様替・一定の用途変更も対象になりうる。
・完成→完了検査→検査済証。特殊建築物等は原則、検査済証の交付"後"でなければ使用不可。
・特定行政庁が支障なしと認めた仮使用等は例外。
・大規模建築物の階数・面積・高さの数値は改正が入りやすい→最新条文で確認。
| 段階 | 内容 |
|---|---|
| 着工前 | 建築確認を受ける(建築主事等・指定確認検査機関)→ 確認済証 |
| 対象(入口) | ①用途部分の床面積が一定規模を超える特殊建築物 ②一定規模以上の大規模建築物 ③都市計画区域等内の一般建築物 |
| 新築以外 | 増築・改築・移転、大規模の修繕・模様替、一定の用途変更も対象になりうる |
| 完成後 | 完了検査を受け 検査済証の交付 |
| 使用開始 | 特殊建築物等は原則、検査済証の交付後でなければ使用不可(仮使用の認定等は例外) |
この物語の“宅建ポイント”
- 一定の建築物は、工事に着手する前に、建築主事等または指定確認検査機関の建築確認(確認済証の交付)を受けなければならない。
- 対象は、用途部分の床面積が一定規模を超える特殊建築物、一定規模以上の大規模建築物、都市計画区域・準都市計画区域等の内で建築する一般の建築物など。増築・改築・移転や大規模の修繕・模様替、特殊建築物への一定の用途変更も対象となりうる。
- 工事完了後は建築主事等の完了検査を受け、検査済証の交付を受ける。特殊建築物等は原則として検査済証の交付を受けた後でなければ使用できない。
- 特定行政庁が安全上・防火上・避難上支障がないと認めたとき等は、検査済証の交付前でも仮に使用できる(仮使用)。
- 大規模建築物の規模(階数・面積・高さ等)の具体的数値は改正が入りやすいため、入口の分類と「着工前の確認・使用前の検査済証」という枠組みを先に固め、数値は最新の建築基準法で確認する。
この論点を、肢で確かめる建築確認は「対象になる建築物・用途変更・検査済証と使用開始・仮使用」を突く法令上の制限の定番。肢別ドリルの「法令上の制限 → 建築基準法」で、〇×を繰り返して手続の流れを固めましょう。
肢別ドリルで解く →