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COLUMN / 宅建コラム

建てて売ったら、10年間の約束
― 桜井くんと住宅瑕疵担保履行法

宅建業法・住宅瑕疵担保履行法2026年7月29日

新築住宅を買ったのに、あとで雨漏りや構造の欠陥(瑕疵)が見つかったら——。買主を守るため、売った業者には10年間の責任があり、さらに「もしものときに支払えるお金」を用意しておく義務があります。それが住宅瑕疵担保履行法。誰に、いつ、何をする法律か、桜井くんと整理しましょう。

― 新築分譲の引渡しを前にした打ち合わせ ―

「先輩、この新築、うちが売主で買主は一般のご家族です。引渡し前に何か特別な手続きって要りますか?」

「要る。自ら売主の宅建業者が、宅建業者でない買主に新築住宅を引き渡すなら、“資力確保措置”をとらないといけない。万一の瑕疵の補修費用を、ちゃんと払える備えをしておけ、という制度だ」

「資力確保措置……何をするんですか?」

「道は二つ。『住宅販売瑕疵担保保証金』を供託所に供託するか、『住宅販売瑕疵担保責任保険』に加入するかだ。どちらかで備えておく。ちなみに保険は、保険料を払うのは売主のうち側だぞ。買主に払わせるんじゃない。保険期間は引渡しの時から10年以上で、構造耐力上主要な部分だけでなく、雨水の浸入を防ぐ部分の瑕疵も対象だ」

「なるほど。ところで、買主が“業者”なら、この措置は要らないんですよね?」

「そこは正確にな。措置が要らないのは、買主が“宅建業者”のときだけ。プロどうしなら自衛できるからだ。——ただし引っかけがある。買主が建設会社(建設業者)でも、宅建業者でなければ措置は必要だ。『建てるプロだから不要』にはならない」

「建設業者イコール免除、じゃないんですね……。あと、この措置って媒介でも要りますか?」

「いや、義務を負うのは“自ら売主”のときだけ。媒介で入るだけなら対象外だ。ここも8種制限と同じ発想だな」

桜井くんは、対象になる場面を手帳に書き出した。

― 桜井くんの手帳 ―
・対象=自ら売主(業者)×新築住宅×買主が宅建業者でない、のとき。
・買主が建設業者でも、宅建業者でなければ措置は必要(要注意)。
・措置=保証金の供託 or 瑕疵担保責任保険。保険料を払うのは売主。
・保険は引渡しから10年以上。構造+雨水浸入部分が対象。
・媒介で入るだけなら対象外。

「よし、次は“時間の管理”だ」と久保田さん。「この法律、『基準日』ごとの手続きが命だぞ。桜井、供託はいつまでにする?」

「えっと……いつでもいいわけじゃないですよね」

基準日から3週間を経過する日までに、供託していなければならない。しかも対象は、基準日前の“10年間”に引き渡した新築住宅だ。売りっぱなしじゃなく、過去10年分をずっと備え続ける」

「その状況を、誰かに報告するんですか?」

基準日ごとに、供託・保険の状況を免許権者に“届け出る”。そして——ここが一番出る。届出を怠ると、基準日の翌日から起算して“50日”を経過した日以後は、新たに自ら売主となる新築住宅の売買契約を締結できなくなる

「基準日を過ぎた“瞬間”にダメ、じゃないんですね」

「そこだ。『基準日以後すぐ契約できない』は誤り。50日の猶予がある。この“50日”を入れ替える肢が、毎年のように出る」

「供託を選んだ場合、買主さんへの説明は?」

供託所の所在地や名称などを、売買契約を締結するまでに、書面を交付して説明する。買主が『いざというときどこに請求するか』を知っておけるようにな」

桜井くんは、時間の流れを表にした。

住宅瑕疵担保履行法の「時間」まわり
項目内容
資力確保措置住宅販売瑕疵担保保証金の供託、または住宅販売瑕疵担保責任保険への加入
供託の時期・範囲基準日から3週間を経過する日までに供託。対象は基準日前10年間に引き渡した新築住宅
届出基準日ごとに、供託・保険の状況を免許権者へ届出
届出を怠ると基準日の翌日から50日を経過した日以後、新たに自ら売主となる新築住宅の売買契約を締結できない
供託の場合の説明契約締結までに、供託所の所在地等を書面で説明

この物語の“宅建ポイント”

  • 宅建業者が自ら売主となり、宅建業者でない買主に新築住宅を引き渡す場合、資力確保措置(住宅販売瑕疵担保保証金の供託、または住宅販売瑕疵担保責任保険契約の締結)が必要。媒介として関与するだけの場合は対象外。
  • 資力確保措置が不要になるのは、買主が宅建業者の場合に限られる。買主が建設業者であっても、宅建業者でなければ措置を講じなければならない。
  • 住宅販売瑕疵担保責任保険は、売主である宅建業者が保険料を支払い、保険期間は引渡しの時から10年以上。構造耐力上主要な部分に加え、雨水の浸入を防止する部分の瑕疵も対象。
  • 基準日から3週間を経過する日までに供託し(対象は基準日前10年間に引き渡した新築住宅)、基準日ごとに供託・保険の状況を免許権者に届け出る。
  • 届出をしないと、基準日の翌日から起算して50日を経過した日以後は、新たに自ら売主となる新築住宅の売買契約を締結できない。「基準日以後ただちに契約できなくなる」は誤り。
  • 保証金を供託する場合は、契約締結までに買主へ供託所の所在地等を記載した書面を交付して説明する。

この論点を、肢で確かめる住宅瑕疵担保履行法は「対象場面・3週間・10年・50日」を入れ替えて問う問45の定番。肢別ドリルの「宅建業法 → 住宅瑕疵担保履行法」で、〇×を繰り返して要件と数字を固めましょう。

肢別ドリルで解く →
※本コラムは学習用の読み物です。住宅瑕疵担保履行法の手続・数値は法改正により変わることがあります。受験・実務にあたっては最新の特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律・施行令をご確認ください。