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COLUMN / 宅建コラム

敷地に、建てられる「面積」の上限
― 桜井くんと建蔽率・容積率

法令上の制限・建築基準法2026年8月2日

「この土地、いっぱいに建てて大きな家にしましょう!」——お客さんの夢は膨らみますが、敷地には“どこまで建てていいか”の上限があります。それが建蔽率(けんぺいりつ)と容積率。法令上の制限の超定番で、緩和と例外が引っかけの宝庫です。桜井くんの勇み足で整理しましょう。

― 更地の売買を任された商談後 ―

「先輩、この100㎡の敷地、めいっぱい建てれば100㎡の家が建ちますよね!」と桜井くん。

「そうはいかない。まず建蔽率だ。建蔽率=建築面積÷敷地面積。用途地域ごとに『敷地の何割まで建物で覆っていいか』が決まっている。仮に建蔽率が10分の6なら、100㎡の敷地には建築面積60㎡までだ」

「じゃあ“何階建てられるか”は?」

「それが容積率だ。容積率=延べ面積(各階の床面積の合計)÷敷地面積。これも用途地域ごとに指定される。建蔽率は“ヨコの広がり”、容積率は“タテも含めた総量”、と分けて覚えろ」

「なるほど……。ところで先輩、この敷地は角地なんです。角地は広く建てられるって聞きました」

「いいところに気づいた。ただし条件がある。街区の角地で“特定行政庁が指定するもの”なら、建蔽率に10分の1を加えられる。角地なら自動で、じゃない。特定行政庁の指定が要るんだ。ここは『指定がなくても加算できる』という誤りでよく出る」

「指定が要るんですね。じゃあ、防火地域だと厳しくなる?」

「むしろ緩む。防火地域内の耐火建築物等なら、建蔽率に10分の1を加えられる。だから角地指定と防火地域内の耐火建築物が重なれば、合わせて10分の2の上乗せだ。しかも極めつけがある。指定建蔽率が10分の8の地域内で、かつ防火地域内の耐火建築物等なら、建蔽率の制限そのものが適用されない。事実上、敷地いっぱいまで建てられる」

「10分の8+防火+耐火で“制限なし”……。数字の組み合わせが命ですね」

「そのとおり。容積率にも落とし穴があるぞ。桜井、この敷地の前の道路、幅は何メートルだ?」

「ええと……4メートルです」

「なら効いてくる。前面道路の幅員が12m未満のときは、指定容積率と、『前面道路の幅員に法定の数値を掛けた値』の、いずれか“小さい方”が上限になる。掛ける数値は住居系の用途地域なら10分の4、その他の地域なら10分の6。要は狭い道路だと容積率が頭打ちになる。12m以上あれば、この道路による制限はかからない」

桜井くんは、必死に手帳へ書き込んだ。

― 桜井くんの手帳 ―
・建蔽率=建築面積÷敷地面積。容積率=延べ面積÷敷地面積。用途地域ごとに指定。
・角地は“特定行政庁の指定”があれば+10分の1(自動ではない)。
・防火地域内の耐火建築物等で+10分の1。角地指定と重なれば+10分の2。
・「8/10地域 かつ 防火地域内の耐火建築物等」=建蔽率の制限なし。
・前面道路12m未満は、指定容積率と“幅員×乗数(住居系4/10・その他6/10)”の小さい方。

「最後にもう一つ」。久保田さんはホワイトボードに二つの敷地図を描いた。「もしこの敷地が、建蔽率の違う二つの地域にまたがっていたら、どっちの数字を使う?」

「うーん……広いほう、ですか?」

「違う。建蔽率・容積率が異なる2以上の地域にまたがるときは、それぞれの地域の割合に応じた“加重平均”だ。各地域の限度に、その地域に属する敷地面積の割合を掛けて足し合わせる。『過半が属する地域の数字を使う』のは用途制限の話で、ここは混同しやすい」

「面積は割合で按分、用途は過半で決める……。別ルールなんですね」

建蔽率・容積率の急所
項目内容
建蔽率建築面積 ÷ 敷地面積(用途地域ごとに指定)
容積率延べ面積 ÷ 敷地面積(用途地域ごとに指定)
角地の緩和特定行政庁が指定する角地等で建蔽率+10分の1
防火地域の緩和防火地域内の耐火建築物等で建蔽率+10分の1(角地指定と重なれば+10分の2)
建蔽率の制限なし指定建蔽率が10分の8の地域 かつ 防火地域内の耐火建築物等
前面道路(容積率)幅員12m未満なら、指定容積率と「幅員×乗数(住居系4/10・その他6/10)」の小さい方。12m以上は制限なし
2以上の地域にまたがる建蔽率・容積率とも面積按分の加重平均(用途制限は“過半”で判定)

この物語の“宅建ポイント”

  • 建蔽率=建築面積÷敷地面積、容積率=延べ面積÷敷地面積。いずれも用途地域ごとに指定される。
  • 街区の角にある敷地等で特定行政庁が指定するものは、建蔽率に10分の1を加算できる。「特定行政庁の指定」が必要で、角地なら当然に加算されるわけではない。
  • 防火地域内にある耐火建築物等は建蔽率に10分の1を加算でき、角地指定と重なれば合わせて10分の2の加算となる。
  • 指定建蔽率が10分の8の地域内で、かつ防火地域内の耐火建築物等については、建蔽率の制限が適用されない。
  • 前面道路の幅員が12m未満のときは、指定容積率と、前面道路の幅員に法定乗数(住居系の用途地域は10分の4、その他の地域は10分の6)を乗じた値の、いずれか小さい方が容積率の上限となる。幅員が12m以上あれば、この前面道路による制限は適用されない。
  • 敷地が建蔽率・容積率の異なる2以上の地域にまたがるときは、各地域の限度を面積の割合で加重平均する。「過半の属する地域による」のは用途制限の判定方法であり、混同しないこと。

この論点を、肢で確かめる建蔽率・容積率は「緩和の条件」と「加重平均か過半か」を入れ替えて問う定番。肢別ドリルの「法令上の制限 → 建築基準法」で、〇×を繰り返して数字と例外を固めましょう。

肢別ドリルで解く →
※本コラムは学習用の読み物です。建蔽率・容積率の緩和や算定方法の細目は建築基準法・施行令の改正により変わることがあります。受験・実務にあたっては最新の条文をご確認ください。