宅建・不動産資格チャンネル
COLUMN / 宅建コラム

銀行のローンを、買い取る仕組み
― 桜井くんと住宅金融支援機構

税その他・住宅金融支援機構2026年7月29日

お客さんの住宅ローンでよく聞く「フラット35」。その裏側にいるのが住宅金融支援機構です。免除科目の定番で、「機構が自分でお金を貸すのか?」というところに落とし穴があります。桜井くんのローン相談から、仕組みをほどいていきましょう。

― お客さんのローン相談を受けて ―

「先輩、お客さんが『フラット35にしたい』って。あれって、機構が直接お金を貸してくれるんですか?」

「そこが一番の勘違いポイントだ。機構の主な仕事は“証券化支援事業(買取型)”。フラット35の正体はこれだ。実際にお金を貸すのは、銀行などの金融機関のほう。機構は、その金融機関がもっている住宅ローンの債権を“買い取る”んだ。機構が窓口で直接融資しているわけじゃない」

「え、貸すのは銀行で、機構は買い取る側……。じゃあ金利は機構が全国一律で決めるんですか?」

「違う。貸付けを行うのは各金融機関だから、貸付金の利率も各金融機関がそれぞれ決める。だから同じフラット35でも、金融機関によって金利が違う。『どの銀行でも同じ利率』は、試験でよく出る誤りだ」

「買い取ってもらえるローンって、新築だけですか?」

「いや。買取型が買い取る債権は、新築住宅だけでなく中古住宅の取得に係るものも対象だ。しかも、その建設・購入に付随する土地や借地権の取得資金、購入に付随する改良の資金も含まれる。『新築のみ』も引っかけだな」

「じゃあ、機構が自分で直接お金を貸すことは無いんですか?」

「“基本は買い取り”だが、政策的に必要な分野では、機構が直接融資も行う。たとえば災害復興のための資金、子育て世帯や高齢者に適した賃貸住宅の建設資金、マンションの共用部分の改良資金。それに高齢者向けの返済特例(リバースモーゲージ型)もある。これは高齢者が亡くなったときに一括で返す形で、担保を処分しても足りない分は請求しないという特約もつけられる」

「至れり尽くせりですね……。ローンを組んだ人が万一のときは?」

「そこで機構は“団体信用生命保険”の業務も行っている。ローンを借りた人が亡くなった場合だけでなく、重度障害の状態になった場合も、保険金をローンの残りの返済に充てられる。遺された家族に借金だけが残らないための仕組みだ」

桜井くんは、機構の役割を「買い取り」と「直接融資」に分けてメモした。

― 桜井くんの手帳 ―
・主業務=証券化支援(買取型=フラット35)。貸すのは金融機関、機構はローン債権を“買い取る”。
・利率は各金融機関が決める(全国一律ではない)。買取対象は新築も中古も、付随する土地・改良資金も。
・直接融資は例外的分野で:災害復興/子育て・高齢者向け賃貸建設/マンション共用部分改良/リバースモーゲージ型。
・団体信用生命保険業務も。死亡だけでなく重度障害でも保険金を返済に充当。
機構の仕事は「買い取り」と「直接融資」に分かれる
内容
証券化支援(買取型)=主業務金融機関の住宅ローン債権を買い取る(フラット35)。貸すのは金融機関で利率も各行が決定。新築・中古とも対象
直接融資(政策分野)災害復興/子育て・高齢者向け賃貸住宅の建設/マンション共用部分の改良リバースモーゲージ型など
団体信用生命保険業務加入者が死亡・重度障害のとき、保険金を債務の弁済に充当

「桜井、覚え方はシンプルだ。『機構は基本、自分で貸さずに“買い取る”。ただし災害や高齢者などの分野だけ、直接貸す』。この一本の軸で、たいていの肢は仕分けできる」

桜井くんは、お客さんに渡すフラット35のパンフレットを、少し誇らしい気持ちで読み返した。

この物語の“宅建ポイント”

  • 機構の主業務は証券化支援事業(買取型=フラット35)で、金融機関が実行した住宅ローンの貸付債権を機構が買い取る。貸付けを行うのは各金融機関である。
  • 買取型の貸付金の利率は、各金融機関がそれぞれ決定する。「どの金融機関でも同一の利率」は誤り。買取りの対象は新築住宅に限らず中古住宅の取得や、付随する土地・改良の資金も含む。
  • 災害復興のための資金、子育て世帯・高齢者に適した賃貸住宅の建設資金、マンション共用部分の改良資金、高齢者向け返済特例(リバースモーゲージ型)などは、機構が直接融資として行う。
  • 機構は団体信用生命保険業務を行い、加入者が死亡した場合のほか重度障害の状態になった場合も、保険金を当該貸付けに係る債務の弁済に充当できる。

この論点を、肢で確かめる住宅金融支援機構は「買い取りか直接融資か」を入れ替えて問う免除科目の定番。肢別ドリルの「税その他 → 住宅金融支援機構(免除科目)」で、〇×を繰り返して役割を固めましょう。

肢別ドリルで解く →
※本コラムは学習用の読み物です。機構の業務範囲・商品内容は制度改正により変わることがあります。受験にあたっては最新の過去問・公式資料をご確認ください。