大きな土地の売買には、契約の“あと”に役所へ届け出る手続きがあります。国土利用計画法の事後届出です。誰が、いつまでに、どのくらいの広さから届け出るのか——数字が問われる定番分野。桜井くんの大型案件から、要件をきっちり押さえましょう。
「先輩、市街化区域の3,000㎡の土地、売買がまとまりました。何か届出が要るんでしたっけ?」
「要る。国土利用計画法の事後届出だ。一定の広さ以上の土地を売買したら、買主(権利取得者)が、契約を結んだ後、2週間以内に、都道府県知事に届け出る」
「届け出るのは、売主じゃなくて買主なんですね。広さの基準は?」
「場所で変わる。市街化区域は2,000㎡以上、市街化区域を除く都市計画区域は5,000㎡以上、都市計画区域の外は10,000㎡以上だ。今回は市街化区域の3,000㎡だから、2,000㎡以上に当たる。届出が要る」
「街なかほど小さい面積から、ですね。開発許可の面積とは数字が違う……」
「そこは混ぜるな。事後届出は市街化区域2,000/その他の都市計画区域5,000/区域外10,000。この3つをセットで覚えろ。——ちなみに桜井、もしこの土地が“相続”で移ったとしたら、届出は要ると思うか?」
「広さは足りてますし……要る、ですか?」
「いや、相続や贈与のように“対価”を伴わない移転は、事後届出の対象外だ。事後届出は、売買や交換など、対価を得て権利が動く契約が対象。ここもよく出る」
「対価のないものは外れる、と。じゃあ、一人の買主が小さく分けて何区画も買ったら、それぞれ小さいから届出なし、で逃げられます?」
「甘い。買主の側では、計画的にまとまった“一団の土地”は合算して判定する。1,000㎡ずつでも、一団としてまとめて5,000㎡になれば、その広さで届出が要る。分ければ逃げられる、とはいかない」
「なるほど……。あと、売主が市や県のときは?」
「当事者の一方でも、国や地方公共団体などが入っていれば、事後届出は不要だ。役所が相手なら、そもそも投機的取引の心配がないからな」
「届け出たあとは、どうなるんですか?」
「知事が土地の利用目的を審査して、必要なら『利用目的を変えなさい』と勧告できる。勧告に従わなくても、契約そのものが無効になったり取り消されたりはしない。ただし、従わない旨などを公表されることはある。——なお、対価の額(価格)も届出事項ではあるが、勧告は“利用目的”についてのものだ、と押さえておけ」
桜井くんは、数字を手帳に書き込んだ。
・面積:市街化区域2,000/その他の都市計画区域5,000/区域外10,000㎡以上。
・相続・贈与など対価のない移転は対象外。
・買主側の「一団の土地」は合算して判定(分割逃れは不可)。
・国・地方公共団体等が当事者なら届出不要。
・知事は利用目的について勧告できる(契約は取り消されない)。
| 区域 | 面積要件 |
|---|---|
| 市街化区域 | 2,000㎡以上 |
| 市街化区域を除く都市計画区域 (市街化調整区域・非線引き) | 5,000㎡以上 |
| 都市計画区域及び準都市計画区域の外 | 10,000㎡以上 |
この物語の“宅建ポイント”
- 事後届出は、権利取得者(買主)が、土地売買等の契約を締結した後、2週間以内に都道府県知事に届け出る。
- 届出が必要な面積は、市街化区域2,000㎡以上、市街化区域を除く都市計画区域5,000㎡以上、都市計画区域及び準都市計画区域外10,000㎡以上。
- 相続・贈与など対価を伴わない移転は、土地売買等の契約に当たらず、事後届出の対象外。
- 買主側で計画的にまとまった一団の土地は、合算して面積要件を判定する。分割して各区画を小さく見せても逃れられない。
- 当事者の一方または双方が国・地方公共団体等であるときは、事後届出は不要。
- 都道府県知事は、届出に係る土地の利用目的について、必要な変更をすべきことを勧告できる。勧告に従わなくても契約は取り消されないが、従わない旨等が公表されることがある。
この論点を、肢で確かめる事後届出は「誰が・いつまでに・どの面積から」と「対象外(相続・国等)」を突く定番。肢別ドリルの「法令上の制限 → 国土利用計画法」で、〇×を繰り返して数字を固めましょう。
肢別ドリルで解く →