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COLUMN / 宅建コラム

契約の前に、もう一言
― 桜井くんと供託所等の説明

宅建業法・業務上の規制2026年7月30日

重要事項説明や37条書面ほど目立たないけれど、契約の前にもう一つやっておくべき説明があります。それが供託所等の説明。地味ですが、時期・相手・中身を入れ替えて問う“サービス問題”の常連です。桜井くんの取りこぼしから、要点を押さえましょう。

― 契約直前の書類チェック ―

「先輩、重要事項説明も終えて、あとは契約書に署名いただくだけです。バッチリですよね」

「桜井、もう一つ抜けてる。“供託所等の説明”だ。うちが取引で相手に損害を与えたとき、お客さんはそこから“還付”を受けられる。だからお客さんに、どこの供託所に備えがあるかを伝えておくんだ」

「いつ説明するんですか? 契約のあとで?」

「そこが第一のポイントだ。供託所等の説明は“契約が成立するまでの間”に行う契約成立後ではダメだ。『37条書面に書いて、契約後に説明した』は時期の点で違反になる」

「何を説明すればいいんですか?」

「うちのように営業保証金を供託している業者なら、“供託した供託所と、その所在地”だ。ちなみに供託した“金額(額)”は説明事項ではない。——一方、うちが保証協会の社員なら中身が変わる。保証協会の社員である旨、その協会の名称・住所・事務所の所在地、そして“弁済業務保証金”を供託した供託所とその所在地を説明する。保証協会の社員は自分で営業保証金を供託しないから、そこを取り違えるな」

「書面を作って渡さないといけませんか?」

「そこも大事だ。供託所等の説明に、書面の交付までは義務づけられていない。口頭でよく、条文上は『説明するように』という努力義務の形だ。もっとも実務では重要事項説明書に記載して一緒に説明するのが望ましい。丁寧にやって損はない」

「なるほど。ちなみに、相手がお客さんじゃなくて“宅建業者”だったら?」

「そのときは説明は不要だ。相手方が宅地建物取引業者であるときは、供託所等の説明はしなくてよい。プロは制度を分かっているからな。——ここは35条の重要事項説明が“業者相手なら説明省略できる”のと同じ発想だ」

桜井くんは、抜けを埋めるように手帳へ書き足した。

― 桜井くんの手帳 ―
・供託所等の説明は「契約が成立するまでの間」に(契約後はダメ)。
・営業保証金の業者→供託した供託所とその所在地(“額”は説明不要)。
・保証協会の社員→協会の名称・住所・事務所所在地+弁済業務保証金の供託所と所在地。
・書面の交付は義務でない(口頭でよい/重説書に記載が望ましい)。
・相手方が宅建業者なら説明は不要。
供託所等の説明で伝えること
業者のタイプ説明する内容
営業保証金を供託している業者営業保証金を供託した供託所およびその所在地(金額は不要)
保証協会の社員である業者社員である旨・協会の名称・住所・事務所の所在地、および弁済業務保証金を供託した供託所とその所在地

この物語の“宅建ポイント”

  • 宅建業者は、契約が成立するまでの間に、相手方等に対して供託所等の説明をするようにしなければならない(宅建業法35条の2)。契約成立後の説明では時期の点で違反となる。
  • 営業保証金を供託している業者は、供託した供託所およびその所在地を説明する。供託した営業保証金の額は説明事項ではない。
  • 保証協会の社員であるときは、社員である旨・協会の名称・住所・事務所の所在地、および弁済業務保証金を供託した供託所とその所在地を説明する。保証協会の社員は自ら営業保証金を供託しない。
  • 供託所等の説明について、書面の交付は義務づけられていない。条文上は説明の努力義務であり、口頭でよいが、重要事項説明書に記載して説明することが望ましい。
  • 相手方が宅地建物取引業者であるときは、供託所等の説明は不要である。

この論点を、肢で確かめる供託所等の説明は「時期・相手・中身」を入れ替えて問う定番。肢別ドリルの「宅建業法 → 業務上の規制(供託所等の説明)」で、〇×を繰り返して要点を固めましょう。

肢別ドリルで解く →
※本コラムは学習用の読み物です。供託所等の説明の手続(電磁的方法による提供など)は法改正により変わることがあります。受験・実務にあたっては最新の宅地建物取引業法をご確認ください。