誰でも宅建業の免許を受けられるわけではありません。過去に一定のことがあった人は、一定期間、免許を受けられない——これが免許の欠格事由です。「どんな刑なら」「いつまで」を、細かく入れ替えて問うのが試験の定番。桜井くんの素朴な疑問から、線引きを固めましょう。
「先輩。僕、学生のとき自転車で人にぶつけて、過失傷害で罰金を払ったことがあるんです……。もう宅建業の免許なんて、一生受けられないんでしょうか」
久保田さんは笑った。「安心しろ。罰金ならなんでもアウト、ではない。免許を受けられなくなる罰金は、宅建業法違反や、傷害・暴行・脅迫・背任など“一定の罪”による罰金に限られる。過失傷害の罰金は、その中に入っていない。道路交通法違反の罰金も同じで、欠格事由にはならない」
「じゃあ、どんな刑だと引っかかるんですか?」
「大きく二段構えだ。まず拘禁刑以上の刑——これは罪名を問わずアウト。刑を終えてから5年を経過しないと免許を受けられない。次に罰金は、さっき言った“一定の罪”のときだけアウトで、やはり5年だ」
「拘留とか科料は? 軽い罰ですけど」
「拘留・科料は、欠格事由となる刑に含まれない。ここは引っかけの宝庫だ。『拘禁刑“以上”』『“一定の罪”の罰金』——この二つの枠から外れる刑は、欠格にならない」
桜井くんは、執行猶予のことも気になった。「拘禁刑でも、執行猶予がついたら?」
「執行猶予の“期間中”は、まだ欠格だ。でも執行猶予の期間が無事に満了すれば、刑の言渡しそのものが効力を失う。その時点で、5年を待たずに直ちに欠格でなくなる。満了したのに『そこから5年』と考えるのは誤りだぞ」
「なるほど……。あと、破産した人は?」
「破産手続開始の決定を受けて“復権を得ない”者は欠格だ。ただし——復権を得れば、直ちに欠格でなくなる。『復権してから5年』ではない。ここも数字のワナだ」
「破産は“今まさに復権していない間”だけ、なんですね」
「そういうことだ。それと忘れちゃいけないのが暴力団員等。暴力団員である者、暴力団員でなくなった日から5年を経過しない者は欠格。法律に違反した事実がなくても、その身分だけで受けられない」
桜井くんは、会社(法人)のことも思い出した。「うちみたいな会社の場合は?」
「大事なところだ。法人は、その“役員”や“政令で定める使用人”(支店の代表者など)の中に欠格者が一人でもいると、会社そのものが免許を受けられない。役員は非常勤でも数える。だから独立して会社を作るなら、役員に迎える人の経歴まで気を配れ」
桜井くんは、胸をなでおろして手帳を開いた。
・罰金は「宅建業法違反・傷害・暴行・脅迫・背任など一定の罪」のときだけ欠格(5年)。過失傷害・道交法の罰金はセーフ。
・執行猶予は満了すれば直ちにセーフ(“満了から5年”ではない)。
・破産→復権を得れば直ちにセーフ(“復権から5年”ではない)。
・暴力団員等は身分だけで欠格。
・法人は役員(非常勤も)・政令で定める使用人に欠格者がいると会社ごと不可。
| 刑の種類 | 欠格になるか |
|---|---|
| 拘禁刑以上(懲役・禁錮に相当する拘禁刑) | なる(罪名を問わず。執行後5年) |
| 罰金(宅建業法違反・傷害・暴行・脅迫・背任等の一定の罪) | なる(5年) |
| 罰金(過失傷害・道路交通法違反など上記以外の罪) | ならない |
| 拘留・科料 | ならない |
| 執行猶予(期間が満了した後) | ならない(満了で直ちに解消) |
この物語の“宅建ポイント”
- 拘禁刑以上の刑に処せられ、執行を終わり又は執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者は、罪名を問わず欠格。執行猶予中も欠格だが、猶予期間が満了すれば刑の言渡しが効力を失い、直ちに欠格でなくなる。
- 罰金の刑で欠格になるのは、宅地建物取引業法違反や傷害・暴行・脅迫・背任などの一定の罪に限られる(執行後5年)。過失傷害罪や道路交通法違反による罰金、また拘留・科料は欠格事由に当たらない。
- 破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者は欠格だが、復権を得れば直ちに欠格でなくなる。「復権から5年」ではない。
- 暴力団員等(暴力団員、又は暴力団員でなくなった日から5年を経過しない者)は欠格。
- 法人は、その役員(非常勤を含む)又は政令で定める使用人のうちに欠格者があると、免許を受けられない。
- 不正の手段で免許を取得した等の理由で免許を取り消され5年を経過しない者や、宅建業に関し不正・不誠実な行為をするおそれが明らかな者も免許を受けられない。
この論点を、肢で確かめる免許の欠格事由は「どの刑か」「いつまでか」「復権・執行猶予の扱い」を入れ替えて問う定番。肢別ドリルの「宅建業法 → 免許」で、〇×を繰り返して線引きを固めましょう。
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