宅建・不動産資格チャンネル
COLUMN / 宅建コラム

3条・4条・5条、どこへ許可を出す
― 桜井くんと農地法

法令上の制限・農地法2026年7月30日

田畑を売る、貸す、あるいは宅地に変える——そのたびに立ちはだかるのが農地法です。カギは3条・4条・5条という三つの条文。「何をするときに、誰の許可が要るのか」を、桜井くんの案件で仕分けしましょう。

― 農地がからむ相談が続いた日 ―

「先輩、農地の相談が三件も来て、頭がこんがらがってます。まず、農家さん同士で畑を売買したいと」

「それは“権利移動”だから3条だ。農地や採草放牧地の所有権を移したり貸したりするには、3条の許可=農業委員会の許可が要る。畑を畑のまま、持ち主だけ変わるパターンだな」

「次は、自分の畑をやめて資材置き場にしたい、と」

「持ち主は同じで、農地を農地でなくする。それが“転用”で4条だ。4条は原則、都道府県知事等の許可。地面の“用途”が変わるときの条文だ」

「三件目が一番ややこしくて……。他人の畑を買って、宅地にして家を建てたい、と」

「それは“転用目的の権利移動”だから5条。持ち主も変わる、用途も変わる、の合わせ技だ。5条も原則、都道府県知事等の許可。——整理するぞ。持ち主が変わるだけ=3条(農業委員会)、用途が変わるだけ=4条(知事等)、両方=5条(知事等)だ」

「あの、二件目と三件目の土地、実は市街化区域内なんです。それでも知事の許可を待つんですか?」

「よく気づいた。そこに大きな例外がある。市街化区域内の農地なら、4条・5条は“あらかじめ農業委員会に届け出れば”許可は要らない。市街化区域はそもそも街にしていく区域だから、転用を後押しするんだ。ただし——3条には、この市街化区域の届出特例はない。市街化区域でも3条の許可は必要だ」

「4条・5条は届出でOK、でも3条はダメ……。ちなみに、相続で畑をもらった場合は?」

相続や遺産分割で農地を取得するのは、3条の許可は不要。ただし“遅滞なく農業委員会に届け出る”必要がある。許可は要らないが、届出は要る、という形だ」

「もし許可を取らずに売買契約を結んだら?」

「そこも急所だ。3条や5条の許可が必要なのに許可を受けないでした契約は、効力を生じない。所有権は移らない。無許可の転用には、行政から原状回復を命じられることもある」

桜井くんは、三つの条文を表にした。

― 桜井くんの手帳 ―
・3条=権利移動(持ち主が変わる)→農業委員会の許可。
・4条=転用(用途が変わる)→原則、都道府県知事等の許可。
・5条=転用目的の権利移動(両方)→原則、都道府県知事等の許可。
・市街化区域内は4条・5条が“農業委員会への届出”で足りる。ただし3条は許可が必要。
・相続は3条許可不要だが農業委員会へ届出。無許可の権利移動は効力を生じない。
農地法 3条・4条・5条の早見表
内容許可権者(原則)市街化区域内
3条権利移動農業委員会許可が必要(届出特例なし)
4条転用都道府県知事等あらかじめ農業委員会へ届出で足りる
5条転用目的の権利移動都道府県知事等あらかじめ農業委員会へ届出で足りる

この物語の“宅建ポイント”

  • 3条(権利移動)は農業委員会の許可、4条(転用)・5条(転用目的の権利移動)は原則として都道府県知事等の許可。「持ち主が変わる=3条/用途が変わる=4条/両方=5条」で仕分ける。
  • 市街化区域内の農地については、4条・5条はあらかじめ農業委員会に届け出れば許可を要しない。ただし3条にはこの市街化区域の届出特例はなく、市街化区域内でも許可が必要。
  • 相続・遺産分割等による3条の権利取得は許可不要だが、遅滞なく農業委員会に届け出る必要がある。
  • 3条・5条の許可を受けないでした権利移動は、その効力を生じない。無許可の転用には原状回復等の命令がされることがある。

この論点を、肢で確かめる農地法は「3条・4条・5条」と「許可権者」「市街化区域の例外」を突く定番。肢別ドリルの「法令上の制限 → 農地法」で、〇×を繰り返して条文の役割を固めましょう。

肢別ドリルで解く →
※本コラムは学習用の読み物です。農地法の許可・届出の取扱いは法改正により変わることがあります。受験・実務にあたっては最新の農地法をご確認ください。