建蔽率・容積率で“面積”の上限を学んだ桜井くん。今度は“高さ”です。建物の高さには、絶対的な天井(絶対高さ制限)と、斜めに切り込むブレーキ(斜線制限)、そして影の長さで縛るルール(日影規制)がある。用途地域とセットで問われる定番を、桜井くんの物件案内から整理します。
「先輩、この閑静な住宅地、眺めのいい5階建てを建てたら人気出ますよ!」と意気込む桜井くん。
「桜井、ここは第一種低層住居専用地域だ。ここは絶対高さ制限がかかる。第一種・第二種低層住居専用地域と田園住居地域では、建物の高さは10mまたは12mのうち、都市計画で定めた限度を超えられない。5階建ては、まず無理だ」
「10mか12m……それ以上はどう頑張ってもダメなんですね」
「“絶対”高さ、という名のとおりだ。次に斜線制限。これは天井じゃなく、敷地の境界から斜めに引いた線を建物が突き抜けないようにするブレーキで、道路斜線・隣地斜線・北側斜線の3種類がある」
「3つ全部、どこでもかかるんですか?」
「そこが引っかけどころだ。たとえば低層住専や田園住居では、そもそも絶対高さ制限(10m/12m)があるから、“隣地斜線制限”は適用されない。低い天井が先に効いていて、隣地斜線の出番がないんだ」
「絶対高さがある地域では、隣地斜線はお休み……」
「そうだ。逆に“北側斜線制限”は、住環境を守るために低層住居専用地域・田園住居地域・中高層住居専用地域で効く。北隣の家の日当たりを守る趣旨だな。ちなみに斜線制限には“過半主義”はない。敷地が2つの地域にまたがるなら、それぞれの部分ごとに判定する。用途制限の『過半の属する地域による』とは違うぞ」
桜井くんは、混乱しかけて手を止めた。
「先輩、最後の“日影規制”って何ですか?」
「中高層の建物が、周りの敷地に落とす“影”を時間で縛るルールだ。急所は測定の基準日。日影規制の日影時間は、“冬至日”の午前8時から午後4時までの間について測る。一年で影がいちばん長い日を基準にするんだ。『夏至日』と書いてあったら誤り、が定番の引っかけだ」
「冬至日、ですね。対象区域の外に建てれば関係ない?」
「そこも要注意だ。対象区域の“外”にある建築物でも、高さが10mを超えて、冬至日に対象区域“内”へ日影を生じさせるものは、対象区域内にあるものとみなして規制される。区域の外だから一律にセーフ、とはならない。なお、どの区域・どの規模を対象にするかは、地方公共団体の条例等で定まる」
桜井くんは、三つのブレーキを手帳に並べた。
・斜線制限=道路・隣地・北側の3種。低層住専・田園住居は隣地斜線が“不適用”。
・北側斜線=低層住専・田園住居・中高層住専に適用(住環境の保護)。
・斜線制限に過半主義なし。またがれば部分ごとに判定。
・日影規制は“冬至日”8時〜16時で測定。区域外でも高さ10m超で区域内に影→規制。
| ルール | 内容・急所 |
|---|---|
| 絶対高さ制限 | 第一種・第二種低層住居専用地域と田園住居地域で、10mまたは12mのうち都市計画で定めた限度 |
| 道路斜線制限 | 前面道路の反対側から斜めに引いた線を超えない(用途地域を問わず広く適用) |
| 隣地斜線制限 | 隣地境界から斜めに。低層住専・田園住居では適用されない(絶対高さ制限があるため) |
| 北側斜線制限 | 低層住専・田園住居・中高層住専で適用(北側の住環境を保護) |
| 日影規制 | 冬至日の午前8時〜午後4時で測定。区域外でも高さ10m超で区域内に日影→規制対象。対象は条例等で指定 |
この物語の“宅建ポイント”
- 第一種・第二種低層住居専用地域および田園住居地域では、建築物の高さは10mまたは12mのうち都市計画で定めた限度を超えてはならない(絶対高さ制限)。「12mまたは15m」などの数字違いは誤り。
- 斜線制限には道路斜線・隣地斜線・北側斜線の3種がある。絶対高さ制限のある低層住居専用地域・田園住居地域では、隣地斜線制限は適用されない。
- 北側斜線制限は、低層住居専用地域・田園住居地域・中高層住居専用地域に適用される。斜線制限の適用に“過半主義”はなく、敷地がまたがるときは部分ごとに判定する。
- 日影規制の日影時間は、冬至日の午前8時から午後4時までの間について測定する。「夏至日」は誤り。
- 対象区域外の建築物でも、高さ10mを超え、冬至日に対象区域内へ日影を生じさせるものは、対象区域内にあるものとみなして規制される。対象区域・対象建築物は地方公共団体の条例等で定める。
この論点を、肢で確かめる高さ制限は「どの地域で何が効くか」「冬至日か夏至日か」を突く定番。肢別ドリルの「法令上の制限 → 建築基準法」で、〇×を繰り返して三つのブレーキを整理しましょう。
肢別ドリルで解く →