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COLUMN / 宅建コラム

合格しただけでは、まだ
― 新人仲介・桜井くんと宅地建物取引士

宅建業法・宅地建物取引士2026年7月29日

重要事項説明のとき、桜井くんは「僕、まだ試験に受かっただけで……」と言葉に詰まりました。試験合格=宅建士、ではないのです。合格から一人前の宅地建物取引士になるまでには、はっきりした“3つの段階”があります。桜井くんの挑戦を追いながら整理しましょう。

― 重要事項説明の一件から、数日後 ―

「先輩、僕、ちゃんと宅建士になりたいです。この前、重説を先輩に代わってもらったのが悔しくて」

久保田さんは、うれしそうに笑った。

「いい心がけだ。じゃあ、お前が“宅建士証を胸に説明できる”ようになるまでの道のりを教えよう。合格・登録・交付。この3段階だ」

「試験に受かった時点では、まだ何段目なんですか?」

「まだ1段目。合格しただけでは、宅地建物取引士ではない。合格は一生有効だが、それだけでは重説も37条書面の記名もできない。次に“登録”が要る」

「登録って、受かればすぐできるんですか?」

「条件がある。宅地建物の取引について2年以上の実務経験があるか、なければ『登録実務講習』を修了すること。桜井は実務まだ半年だから、講習を受ける組だな。それをクリアして、都道府県知事の資格登録簿に載って、ようやく2段目だ」

「登録できたら、もう重説できます?」

「まだだ。ここが最後の落とし穴。登録しただけでも、まだ重説はできない。“宅地建物取引士証”の交付を受けて、はじめて宅建士としての仕事ができる。あの日、私が胸の高さに掲げたカードだよ」

久保田さんは、3段の階段を紙に描いた。

STEP 1試験に合格する(合格の効力は一生。ただしこれだけでは宅建士ではない)
STEP 2登録を受ける(2年以上の実務経験、または登録実務講習の修了が必要。知事の資格登録簿に登載)
STEP 3宅地建物取引士証の交付を受ける(ここではじめて重要事項説明・37条書面の記名ができる)

「3段目まで上って、やっと一人前なんですね……。士証って、ずっと使えるんですか?」

「いや、宅建士証の有効期間は5年。更新するには、知事の指定する法定講習を受ける必要がある。知識を古びさせないためだな。——それと、重説のときは請求がなくても士証を提示する。相手から求められたときも当然に提示だ」

「肝に銘じます。ところで先輩、うちの事務所の“専任の宅建士”って、何人いればいいんですか?」

「事務所には、業務に従事する者5人に1人以上の割合で、成年者である専任の宅建士を置く。もし人が辞めてこの数を欠いたら、2週間以内に補充しないといけない。——お前が早く3段目まで来てくれたら、その1人に数えられるぞ」

桜井くんは背筋を伸ばし、手帳に大きく書いた。

― 桜井くんの手帳 ―
・合格→登録→士証の交付。合格だけでは宅建士じゃない。
・登録には実務2年 or 登録実務講習。
・重説・37条の記名ができるのは「士証の交付」を受けてから。
・士証は5年、更新は法定講習。重説では請求がなくても提示。
・専任の宅建士は事務所の業務従事者5人に1人以上(欠けたら2週間以内に補充)。

この物語の“宅建ポイント”

  • 「試験合格」「登録」「宅建士証の交付」は別の段階。合格しただけでは宅地建物取引士ではなく、重要事項説明や37条書面の記名はできない。
  • 登録を受けるには、宅地・建物の取引に関し2年以上の実務経験、またはこれに代わる登録実務講習の修了が必要。
  • 宅地建物取引士としての事務(重説・35条書面や37条書面の記名など)ができるのは、宅地建物取引士証の交付を受けた後。登録だけでは足りない。
  • 宅地建物取引士証の有効期間は5年で、更新には知事の指定する法定講習を受ける必要がある。重要事項説明の際は、請求がなくても士証を提示しなければならない。
  • 事務所には、業務に従事する者5人に1人以上の割合で成年者である専任の宅地建物取引士を置く。この数を欠いたときは、2週間以内に必要な措置(補充等)をとらなければならない。

この論点を、肢で確かめる宅地建物取引士は「合格・登録・交付」の段階と、専任の設置・届出をひっかける定番テーマ。肢別ドリルの「宅建業法 → 宅地建物取引士」で〇×を固めましょう。

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※本コラムは学習用の読み物です。登録の要件・宅建士証・専任の設置に関する手続は法改正により変わることがあります。受験・実務にあたっては最新の宅建業法・施行規則をご確認ください。