「土地」と対になる免除科目が「建物」。材料と構造の“性格”を知っていれば、常識で解ける問題が多い分野です。木・鉄・コンクリート、それぞれの得意と弱点——桜井くんのモデルルーム見学から整理していきましょう。
「先輩、このマンション、鉄筋コンクリート造って書いてありました。木造の家と何が違うんですか?」
「材料の性格が違う。整理するぞ。まず鉄筋コンクリート造(RC造)は、地震や風を受けても躯体の変形が比較的小さく、耐火性にも富む。ただし弱点もある。コンクリートは重いから建物の自重が大きくなり、固まって強度が出るまで日数がかかって、現場の作業も多いから工期が長くなる」
「頑丈だけど、重くて時間がかかる、と。鉄骨のビルは?」
「鉄骨造(S造)の鋼材は、強度が高くて粘りがあり、比較的小さな断面でも荷重に耐えられる。だが泣きどころが二つ。鋼材は熱に弱く、さびやすい。だから耐火被覆や防錆の処理が欠かせない。ちなみに鋼は、炭素量が多いほど“硬く強く”なる代わりに粘りは減る。『炭素が多いと軟らかくて弱い』は逆で、ひっかけだ」
「なるほど……。構造の“組み方”にも種類があるって聞きました」
「ある。代表が二つだ。ラーメン構造は、柱を縦・梁を横に置いて、その接合部をがっちり固めた骨組み。もう一つの壁式構造は、板状の壁と床を箱形に組み、原則として柱や梁を使わない。それと、四角い骨組みの対角線に筋かいを入れて補強するのがブレース構造で、これはラーメン構造など他の構造と併用されることも多い。『併用しない』は誤りだ」
「木造は、昔ながらで弱いイメージですけど……」
「侮るな。集成材のように、板を接着して大断面にすれば大規模な木造建築もできる。ただし木は生き物だ。木造建物の寿命は、木材の乾燥状態や防虫・防腐の対策に大きく左右される。湿気は大敵で、たとえば基礎に使う木ぐいは、平家の木造を除いて“常水面下”に置く——水面の下なら腐りにくいからだ。乾かす所は乾かし、水に浸ける所は浸けきる。木は“水との付き合い方”が肝心なんだ」
桜井くんは、材料ごとの得意・弱点を書き分けた。
・S造(鋼材)=強度高・粘りあり・小断面でOK。でも熱に弱くさびやすい→耐火被覆・防錆。
・ラーメン構造=接合部を剛に固める/壁式構造=壁と床の箱、原則柱梁なし。
・木造=乾燥・防虫防腐で寿命が決まる。木ぐいは(平家木造を除き)常水面下に。
| 構造 | 特徴 |
|---|---|
| 木造(W) | 軽く扱いやすい。乾燥・防腐・防虫が寿命を左右。集成材で大規模も可 |
| 鉄骨造(S) | 鋼材は強度高・粘りあり・小断面で可。熱に弱くさびやすい→耐火被覆・防錆 |
| 鉄筋コンクリート造(RC) | 変形が小さく耐火性◎。ただし自重が大きく工期が長い |
| 鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC) | 鉄骨とRCを組み合わせ、強さと粘りを兼ねる(高層向き) |
「桜井、暗記じゃなく“性格”で覚えろ。コンクリートは重くて燃えにくい。鉄は強いが熱と錆に弱い。木は軽いが水に注意。この三つの性格に肢を当てれば、たいてい判断できる」
桜井くんは、見学会のパンフレットの“構造”の欄を、はじめて意味のある言葉として読み直した。
この物語の“宅建ポイント”
- 鉄筋コンクリート造(RC造)は躯体の変形が比較的小さく耐火性に富むが、自重が大きく、強度発現に日数がかかり工期が長くなる。
- 鉄骨造の鋼材は強度が高く粘りがあり小断面で荷重に耐えるが、熱に弱くさびやすいため、耐火被覆・防錆処理が必要。鋼は炭素量が多いほど硬く強くなる(粘りは減る)。
- ラーメン構造は柱・梁の接合部を剛に固めた構造、壁式構造は壁と床を箱形に組み原則柱梁を用いない構造。ブレース構造は他の構造と併用されることも多い。
- 木造建物の寿命は、木材の乾燥状態や防虫・防腐対策に左右される。木ぐいは平家建て木造に用いる場合を除き、常水面下に置く(水面下は腐りにくい)。集成材により大規模木造も可能。
この論点を、肢で確かめる「建物」は材料と構造の性格を問う免除科目の得点源。肢別ドリルの「税その他 → 建物(免除科目)」で、〇×を繰り返して各構造の得意・弱点を固めましょう。
肢別ドリルで解く →