お客さんから「更新のない借地でビルを建てたい」と相談を受けた桜井くん。「定期借地権……ですよね。えっと、事業用は公正証書で、一般は期間が長いやつで、あと建物を譲る特約のもあった気が……」名前が似ていて、こんがらがる。今日は3つの定期借地権を、期間・用途・作り方の3点で並べます。
「先輩、定期借地権って結局いくつあるんですか? 毎回ごちゃごちゃに……」
「3つだ。一般定期借地権・事業用定期借地権・建物譲渡特約付借地権。まず土台に、更新のある普通借地権があると考えろ。普通借地権は建物所有目的で、期間を定めなくても存続期間は30年、更新もある。この“更新のある借地”を打ち消す仕組みが、定期借地権だ」
「なるほど。まず一般定期借地権は?」
「一般定期借地権(22条)は存続期間50年以上。用途の制限はない。作り方は公正証書等の“書面”(電磁的記録を含む)で、①更新をしない②建物を築造しても存続期間を延長しない③建物買取請求をしない、の3つの特約を定める。ここが特徴だ」
「“公正証書等の書面”……ってことは、公正証書じゃなくてもいいんですか?」
「いい。書面(電磁的記録でも可)ならOKだ。——ところが、次の事業用定期借地権(23条)は違う。これは公正証書に“限る”。ここが繰り返し問われる」
「事業用……お店やビルを建てるやつですね。期間は?」
「10年以上50年未満だ。そして専ら事業の用に供する建物に限る。居住用は不可。ここで引っかけが来る。従業員の社宅はどうだ?」
「事業のための建物だから……いけそう?」
「ダメだ。社宅は結局“人が住む”建物=居住用だから、事業用定期借地権にはできない。“会社が使う”ではなく“居住に使うか”で判断する」
「うわ、ひっかかりました……。最後の、建物を譲るやつは?」
「建物譲渡特約付借地権(24条)だ。存続期間30年以上を経過した日に、借地上の建物を、借地権設定者(地主)に相当の対価で譲渡する特約を付ける。建物が地主のものになることで、借地権が消える仕組みだ」
桜井くんは、3つを縦に並べて、期間と作り方を書き分けた。
・一般定期(22条)=50年以上・用途自由・書面(電磁的記録可)+3特約。
・事業用(23条)=10年以上50年未満・専ら事業用(居住用×・社宅×)・公正証書に限る。
・建物譲渡特約付(24条)=30年以上経過日に建物を地主へ譲渡。
「作り方の“公正証書に限る”は事業用だけ。ここだけ別格だと覚えろ」。久保田さんは表にまとめた。
| 種類 | 存続期間 | 用途 | 作り方(要式) |
|---|---|---|---|
| 一般定期借地権 (22条) | 50年以上 | 制限なし | 公正証書等の書面(電磁的記録可)+3特約(更新しない・延長しない・買取請求しない) |
| 事業用定期借地権 (23条) | 10年以上50年未満 | 専ら事業用(居住用・社宅は不可) | 公正証書に限る |
| 建物譲渡特約付 借地権(24条) | 30年以上 | 制限なし | 30年以上経過した日に建物を設定者へ相当の対価で譲渡する特約 |
| (参考)普通借地権 | 30年(定めなくても30年) | 建物所有目的 | 書面は不要・更新あり |
「先輩、“50年以上”“10年以上50年未満”“30年以上”……期間がそれぞれ違うんですね」
「そうだ。数字と要式をセットで押さえろ。特に事業用=公正証書、居住用は不可。この2つは毎年どこかで顔を出すぞ」
この物語の“宅建ポイント”
- 一般定期借地権(22条)は存続期間50年以上。公正証書等の書面(電磁的記録を含む)で、更新しない・存続期間を延長しない・建物買取請求をしない、の3つの特約を定める。用途の制限はない。
- 事業用定期借地権(23条)は存続期間10年以上50年未満で、専ら事業の用に供する建物に限る(居住用は不可)。設定は公正証書に限るのが最大の特徴。従業員の社宅は居住用に当たり設定できない。
- 建物譲渡特約付借地権(24条)は、存続期間30年以上を経過した日に、借地上の建物を借地権設定者へ相当の対価で譲渡する特約を付す。
- 比較の土台は普通借地権。建物所有目的で、期間を定めなくても存続期間は30年、更新がある。定期借地権はこの「更新」を打ち消す仕組み。
この論点を、肢で確かめる「事業用は書面でよい」「一般定期は公正証書に限る」「社宅なら事業用OK」——狙われるのは要式と用途の入れ替えです。肢別ドリルの「権利関係」で、3種類の顔を見分ける練習を。
肢別ドリルで解く →