宅建業法のいちばん入口にあって、実はよく間違えるのが「その取引に免許が要るのか」という問い。何をすれば“宅建業”になり、何なら免許が要らないのか。線引きを外すと、あとの論点が全部ずれます。桜井くんの素朴な疑問から、宅建業の意味と適用除外を整理しましょう。
「先輩、そもそも“宅建業”って、何をしたら当たるんですか? うちは免許を持ってますけど、線がよく分かってなくて」
「基本から行こう。宅建業とは、宅地・建物について、①自ら売買・交換をする、②売買・交換・貸借の“代理・媒介”をする——これを“業として”行うことだ。“業として”とは、不特定多数の相手に、反復継続してやる、という意味だ」
「一回きり、身内だけ、なら業じゃない、と。……あれ、“貸借”は?」
「いいところに気づいた。ここが最頻出だ。“自ら貸借”——自分が貸主になって貸す、又貸し(転貸)も含めて——は、宅建業に当たらない。だから、大家さんが自分のアパートを何十室も反復継続して貸しても、それ自体には免許は要らない」
「え、あんなに部屋があっても?」
「そうだ。“自ら貸主”は業に当たらない。でも、貸借の“代理・媒介”を業として行うなら免許が要る。自分で貸すのはセーフ、他人の貸し借りを取り持つのはアウト、という線だ。ちなみに物件の管理業務も、宅建業そのものではない」
「自ら貸すのはOK、仲介はダメ……。逆に“自ら売買”はどうです? 自分の土地を区画割りして何区画も売るのは?」
「それは自ら売主として反復継続して売るから、宅建業に当たる。目的が借金返済でも関係なく、免許が要る。“自ら”でも、貸借はセーフ・売買や交換はアウト、と覚えろ」
「同じ“自ら”でも、売買と貸借で真逆なんですね。……ところで、免許が要らない特別な人っているんですか?」
「いる。二つ挙げよう。まず信託会社・信託銀行だ。これらは宅建業の免許は要らない。ただし、国土交通大臣に“宅建業を営む旨の届出”をすれば、免許に関する規定を除いて宅建業者とみなされ、業法のルールが適用される。免許は不要でも、野放しではないんだ」
「免許なしでも、宅建業者扱いになる、と。もう一つは?」
「破産管財人だ。破産した会社の財産を、裁判所の関与のもとで換価(お金に換える)ために売却する行為は、“業として”行うものとはいえず、宅建業に当たらない。だから管財人自身に免許は要らない。ただし、その売却の“媒介”を引き受ける業者のほうは、当然に免許が要るぞ」
「なるほど……。あと、国や市が売主のときは?」
「国や地方公共団体には、宅建業法(免許など)の規定は適用されない。役所は免許なしで取引できる。ここも押さえておけ」
桜井くんは、線引きを手帳にまとめた。
・自ら貸借(自ら貸主・転貸)は宅建業に当たらない。管理業務も該当せず。
・ただし貸借の代理・媒介は免許が必要。自ら売買・交換は免許が必要(目的は無関係)。
・信託会社・信託銀行=免許不要。国交大臣に届出すれば(免許の規定を除き)みなし業者。
・破産管財人の換価売却は業に当たらない(媒介する業者は免許必要)。
・国・地方公共団体には宅建業法の規定が適用されない。
| 行為 | 宅建業(免許) |
|---|---|
| 自ら売主として反復継続して売買・交換 | 当たる(必要) |
| 売買・交換・貸借の代理・媒介を反復継続 | 当たる(必要) |
| 自ら貸主として貸借(転貸を含む) | 当たらない(不要) |
| 物件の管理業務 | 当たらない(不要) |
| 信託会社・信託銀行 | 免許不要(大臣届出でみなし業者) |
| 破産管財人の換価のための売却 | 当たらない(不要) |
この物語の“宅建ポイント”
- 宅地建物取引業とは、宅地・建物の売買・交換、または売買・交換・貸借の代理・媒介を、業として(不特定多数に反復継続して)行うこと。
- 自ら貸借(自ら貸主・転貸を含む)は宅地建物取引業に当たらず、免許を要しない。一方、貸借の代理・媒介や、自ら売主としての売買・交換は宅建業に当たり、目的を問わず免許が必要。管理業務は宅建業に当たらない。
- 信託会社・信託銀行は免許を要しないが、国土交通大臣に届出をすれば、免許に関する規定を除いて宅地建物取引業者とみなされる(宅建業法77条3項)。
- 破産管財人が破産財団の換価のために売却する行為は、業として行うものとはいえず、宅建業に当たらない。その売却の媒介を業として行う者は免許が必要。
- 国・地方公共団体には、宅地建物取引業法の規定が適用されない。
この論点を、肢で確かめる宅建業の意味・適用除外は「自ら貸借」「反復継続」「信託・破産管財人」を突く定番。肢別ドリルの「宅建業法 → 宅建業の意味」で、〇×を繰り返して線引きを固めましょう。
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