用途地域や容積率といった“中身”は勉強していても、その都市計画を「誰が」「どう」決めるのかという手続は後回しになりがち。ここは知っていれば取れる、静かな得点源です。とくに地区計画まわりの届出は毎年の定番。桜井くんの素朴な疑問から見ていきましょう。
「先輩、そもそも都市計画って、国が決めてるんですか?」
「いや、基本は都道府県か市町村が定める。おおまかに言えば、広域的・根幹的なものは都道府県、住民に身近なものは市町村だ。役割分担がある」
「市町村が決めるとき、県に断らなくていいんですか?」
「断りは要る。市町村が都市計画を決めようとするときは、あらかじめ都道府県知事に“協議”しなければならない。ここが引っかけどころで、昔は知事の“同意”まで必要だったが、今は協議で足りる(同意は不要)。『同意が要る』と書いてあったら誤りを疑え」
「協議は要るけど、同意まではいらない……。住民は口を出せないんですか?」
「出せる。都市計画を決めるときは、案を公告して縦覧し、住民や利害関係人は意見書を出せる。そのうえで都市計画審議会の議を経るのが大まかな流れだ。さらに、土地の所有者だけでなく、まちづくりの活動をするNPO法人や一般社団・財団法人なども、都市計画の決定・変更を“提案”できる。まちづくりに住民側から関われる仕組みだ」
「へえ。ところでこの物件、“地区計画”がかかってるみたいなんですが、これは何ですか?」
「地区計画は、その地区にふさわしい、きめ細かなまちづくりのルールだ。用途地域の中はもちろん、一定の場合には用途地域が定められていない区域にも定められる。『用途地域内だけ』と思い込むと足をすくわれるぞ」
「この土地で建て替えをするお客さんがいるんですが、何か手続は?」
「ある。地区整備計画が定められた地区計画の区域内で、土地の区画形質の変更や建築物の建築などをしようとする者は、行為に“着手する日の30日前まで”に、“市町村長”に届け出る。ここは要注意で、“知事の許可”ではなく“市町村長への届出”だ。そして届け出た内容が地区計画に適合しないと市町村長が認めれば、設計の変更などを“勧告”できる」
「許可じゃなくて届出、相手は市町村長、タイミングは30日前……。混ざりそうです」
「だからこそ狙われる。“許可か届出か”“誰に対してか”“いつまでか”を、セットで固めろ」
桜井くんは、手続の言葉を丁寧に書き分けた。
・市町村が定めるとき→知事に「協議」(同意は不要。ここが改正の急所)。
・手続は 公告・縦覧→意見書→都市計画審議会の議、が大まかな流れ。
・所有者やまちづくりNPO等は、都市計画の決定・変更を提案できる。
・地区計画は用途地域の外でも定められる(一定の場合)。
・地区整備計画の区域内の行為→着手30日前までに“市町村長へ届出”(許可でない)。適合しなければ勧告。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 手続の種類 | 届出(許可ではない) |
| 届出先 | 市町村長 |
| 時期 | 行為に着手する日の30日前まで |
| 不適合のとき | 市町村長が設計変更等を勧告できる |
この物語の“宅建ポイント”
- 都市計画は都道府県または市町村が定める。広域的・根幹的なものは都道府県、住民に身近なものは市町村が担う。
- 市町村が都市計画を決定しようとするときは、あらかじめ都道府県知事に協議しなければならない。かつて必要とされた知事の同意は、現在は不要である。
- 土地の所有者のほか、まちづくりの推進を図る活動を行うNPO法人や一般社団・財団法人等も、都市計画の決定・変更を提案できる。
- 地区計画は、用途地域が定められている区域のほか、一定の場合には用途地域が定められていない区域にも定めることができる。
- 地区整備計画が定められた地区計画の区域内で建築物の建築等を行おうとする者は、行為に着手する日の30日前までに市町村長に届け出る(許可ではない)。届出が地区計画に適合しないと認められるときは、市町村長が設計の変更等を勧告できる。
この論点を、肢で確かめる都市計画の手続は「協議か同意か」「許可か届出か」を突く定番。肢別ドリルの「法令上の制限 → 都市計画法」で、〇×を繰り返して手続の言葉を固めましょう。
肢別ドリルで解く →