法令上の制限のいちばん最初、地図の“土台”を決めるのが都市計画法です。どこを市街地として育て、どこを抑えるか——街を線で分ける発想を押さえると、開発許可も建築制限も一気に見通しがよくなります。桜井くんの案件の“区域”確認から。
「先輩、この物件、役所で調べたら『市街化区域』でした。まず、この“区域”って何なんですか?」
「街づくりの土台だ。都市計画区域のうち、必要な所は“区域区分”=いわゆる線引きで二つに分ける。市街化区域は、すでに市街地になっている所と、おおむね10年以内に優先的・計画的に市街化を図るべき所。市街化調整区域は、市街化を“抑制”すべき所だ。育てる街と、抑える街、と覚えろ」
「線引きって、どの都市計画区域にも必ずあるんですか?」
「いや、区域区分を定めない“非線引き”の都市計画区域もある。線引きするかどうか自体が一つの判断だ。——それで桜井、市街化区域には、もう一つ必ずセットになるものがある。何だと思う?」
「用途地域、ですか?」
「正解だ。市街化区域には、少なくとも用途地域を定める。育てる街だから、住宅地・商業地・工業地と用途を整えるんだ。逆に市街化調整区域には、原則として用途地域を定めない。抑える街だから、積極的に用途を割り振らない」
「用途地域って、たくさん種類がありますよね」
「住居系・商業系・工業系にわたって全部で13種類ある。第一種低層住居専用地域から工業専用地域まで、静かな住宅地から工場地帯まで段階的に並んでいる。そこに、用途地域を“補強”する補助的な地域地区が乗る。たとえば高度地区は建築物の“高さ”の最高・最低限度を定める地区、高度利用地区は容積率などを定める地区——名前が似ていて紛らわしいから、ここは区別しておけ」
「“高さ”の高度地区と、“容積率”の高度利用地区……セットで覚えます。あと、準都市計画区域っていうのも見ました」
「都市計画区域の外でも、放っておくと乱開発になりそうな所を囲うのが準都市計画区域だ。ここには用途地域や特別用途地区、高度地区などは定められる。ただし“線引き(区域区分)”は準都市計画区域には定められないし、市街地開発事業のような積極的な整備もできない。“ゆるく網をかける”区域だと思え」
桜井くんは、街を分ける言葉の関係を書き出した。
・線引きしない“非線引き”都市計画区域もある。
・市街化区域は少なくとも用途地域を定める。市街化調整区域は原則定めない。用途地域は全13種類。
・高度地区=高さの限度/高度利用地区=容積率等(別物!)。
・準都市計画区域には用途地域等は定められるが、線引き・市街地開発事業は不可。
| 区域 | 性格 | 用途地域 |
|---|---|---|
| 市街化区域 | 既に市街地+おおむね10年以内に優先的・計画的に市街化 | 少なくとも定める |
| 市街化調整区域 | 市街化を抑制すべき区域 | 原則定めない |
| 非線引きの都市計画区域 | 区域区分を定めない | 定めることができる |
| 準都市計画区域 | 区域外で乱開発を防ぐため網をかける | 用途地域等は可(線引きは不可) |
「桜井、都市計画法は枝葉が多い。だが根っこは『育てる市街化区域か、抑える調整区域か』という線引きと、その上に乗る用途地域』だ。まずこの骨格を持てば、開発許可の面積要件も建築の制限も、同じ地図の上で読める」
桜井くんは、役所でもらった白図に、はじめて“意味”が見えた気がした。
この物語の“宅建ポイント”
- 区域区分(線引き)は、市街化区域と市街化調整区域に分ける。市街化区域は「既に市街地を形成している区域及びおおむね10年以内に優先的・計画的に市街化を図るべき区域」、市街化調整区域は「市街化を抑制すべき区域」。区域区分を定めない非線引きの都市計画区域もある。
- 市街化区域については、都市計画に少なくとも用途地域を定めるものとされ、市街化調整区域には原則として用途地域を定めない。用途地域は住居系・商業系・工業系にわたる全13種類。
- 補助的地域地区のうち、高度地区は建築物の高さの最高・最低限度を、高度利用地区は容積率等を定める地区で、両者は別物。特定用途制限地域は用途地域が定められていない区域(市街化調整区域を除く)に定める。
- 準都市計画区域には、用途地域・特別用途地区・高度地区等を定めることができるが、区域区分(線引き)や市街地開発事業に関する都市計画は定められない。
この論点を、肢で確かめる都市計画法は「区域区分と地域地区の骨格」を突く定番。肢別ドリルの「法令上の制限 → 都市計画法」で、〇×を繰り返して市街化区域・調整区域・準都市計画区域の違いを固めましょう。
肢別ドリルで解く →