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COLUMN / 宅建コラム

街を、線で分ける
― 桜井くんと都市計画法

法令上の制限・都市計画法2026年7月29日

法令上の制限のいちばん最初、地図の“土台”を決めるのが都市計画法です。どこを市街地として育て、どこを抑えるか——街を線で分ける発想を押さえると、開発許可も建築制限も一気に見通しがよくなります。桜井くんの案件の“区域”確認から。

― 物件の所在する「区域」を調べながら ―

「先輩、この物件、役所で調べたら『市街化区域』でした。まず、この“区域”って何なんですか?」

「街づくりの土台だ。都市計画区域のうち、必要な所は“区域区分”=いわゆる線引きで二つに分ける。市街化区域は、すでに市街地になっている所と、おおむね10年以内に優先的・計画的に市街化を図るべき所市街化調整区域は、市街化を“抑制”すべき所だ。育てる街と、抑える街、と覚えろ」

「線引きって、どの都市計画区域にも必ずあるんですか?」

「いや、区域区分を定めない“非線引き”の都市計画区域もある。線引きするかどうか自体が一つの判断だ。——それで桜井、市街化区域には、もう一つ必ずセットになるものがある。何だと思う?」

「用途地域、ですか?」

「正解だ。市街化区域には、少なくとも用途地域を定める。育てる街だから、住宅地・商業地・工業地と用途を整えるんだ。逆に市街化調整区域には、原則として用途地域を定めない。抑える街だから、積極的に用途を割り振らない」

「用途地域って、たくさん種類がありますよね」

住居系・商業系・工業系にわたって全部で13種類ある。第一種低層住居専用地域から工業専用地域まで、静かな住宅地から工場地帯まで段階的に並んでいる。そこに、用途地域を“補強”する補助的な地域地区が乗る。たとえば高度地区は建築物の“高さ”の最高・最低限度を定める地区、高度利用地区は容積率などを定める地区——名前が似ていて紛らわしいから、ここは区別しておけ」

「“高さ”の高度地区と、“容積率”の高度利用地区……セットで覚えます。あと、準都市計画区域っていうのも見ました」

「都市計画区域の外でも、放っておくと乱開発になりそうな所を囲うのが準都市計画区域だ。ここには用途地域や特別用途地区、高度地区などは定められる。ただし“線引き(区域区分)”は準都市計画区域には定められないし、市街地開発事業のような積極的な整備もできない。“ゆるく網をかける”区域だと思え」

桜井くんは、街を分ける言葉の関係を書き出した。

― 桜井くんの手帳 ―
・区域区分(線引き)=市街化区域(既成市街地+おおむね10年以内に優先的計画的に市街化)/市街化調整区域(市街化を抑制)。
・線引きしない“非線引き”都市計画区域もある。
・市街化区域は少なくとも用途地域を定める。市街化調整区域は原則定めない。用途地域は全13種類。
・高度地区=高さの限度/高度利用地区=容積率等(別物!)。
・準都市計画区域には用途地域等は定められるが、線引き・市街地開発事業は不可。
区域区分(線引き)の骨格
区域性格用途地域
市街化区域既に市街地+おおむね10年以内に優先的・計画的に市街化少なくとも定める
市街化調整区域市街化を抑制すべき区域原則定めない
非線引きの都市計画区域区域区分を定めない定めることができる
準都市計画区域区域外で乱開発を防ぐため網をかける用途地域等は可(線引きは不可

「桜井、都市計画法は枝葉が多い。だが根っこは『育てる市街化区域か、抑える調整区域か』という線引きと、その上に乗る用途地域』だ。まずこの骨格を持てば、開発許可の面積要件も建築の制限も、同じ地図の上で読める」

桜井くんは、役所でもらった白図に、はじめて“意味”が見えた気がした。

この物語の“宅建ポイント”

  • 区域区分(線引き)は、市街化区域と市街化調整区域に分ける。市街化区域は「既に市街地を形成している区域及びおおむね10年以内に優先的・計画的に市街化を図るべき区域」、市街化調整区域は「市街化を抑制すべき区域」。区域区分を定めない非線引きの都市計画区域もある。
  • 市街化区域については、都市計画に少なくとも用途地域を定めるものとされ、市街化調整区域には原則として用途地域を定めない。用途地域は住居系・商業系・工業系にわたる全13種類。
  • 補助的地域地区のうち、高度地区は建築物の高さの最高・最低限度を、高度利用地区は容積率等を定める地区で、両者は別物。特定用途制限地域は用途地域が定められていない区域(市街化調整区域を除く)に定める。
  • 準都市計画区域には、用途地域・特別用途地区・高度地区等を定めることができるが、区域区分(線引き)や市街地開発事業に関する都市計画は定められない。

この論点を、肢で確かめる都市計画法は「区域区分と地域地区の骨格」を突く定番。肢別ドリルの「法令上の制限 → 都市計画法」で、〇×を繰り返して市街化区域・調整区域・準都市計画区域の違いを固めましょう。

肢別ドリルで解く →
※本コラムは学習用の読み物です。都市計画の内容・区分は法改正により変わることがあります。受験・実務にあたっては最新の都市計画法をご確認ください。