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COLUMN / 宅建コラム

15歳から書ける、最後の意思
― 桜井くんと遺言

権利関係・相続2026年7月30日

相続の準備として、お客さんから「遺言を書きたい」と相談されることがあります。書き方を一つ間違えると、せっかくの意思が無効になることも。遺言は、方式が命の論点です。年齢・方式・検認・撤回——桜井くんと基本を押さえましょう。

― 高齢のお客さんからの相談を受けて ―

「先輩、遺言って、何歳から書けるんですか? 未成年はダメですよね」

「そこが引っかけどころだ。遺言は、満15歳に達していればできる。未成年でも、15歳以上なら、親の同意なしに単独で有効な遺言ができる。契約の年齢とは別の物差しなんだ」

「15歳……。書き方にも決まりが?」

「厳格だぞ。まず自筆証書遺言。これは本文の全文・日付・氏名を、遺言者が“自書”して押印する。パソコンで打った本文はダメ、日付が『吉日』みたいに特定できないのもダメだ」

「全部手書き……。財産の一覧まで手書きは大変そうですね」

「そこは緩められた。添付する“財産目録”は、パソコン等で作成してもよい。ただしその目録の各ページに署名押印が要る。本文は自書、目録は例外、と分けて覚えろ」

「もう一つ、公証役場でつくるやつは?」

公正証書遺言だ。証人2人以上の立会いのもと、公証人が作成する。手間はかかるが、専門家が関与するぶん確実だ。——さらに大事なのが“検認”の要否だ。桜井、自筆証書遺言は、原則、家庭裁判所の“検認”が必要。でも公正証書遺言は検認がいらない

「検認って、何のためですか?」

「遺言書の形式や状態を家庭裁判所が確認して、後の偽造・変造を防ぐ手続きだ。公正証書は公証人が原本を保管しているから、あらためて検認する必要がない。——ちなみに、自筆証書でも法務局で保管する制度を使えば検認は不要になる。細かい制度は動くから、そこは最新の扱いを確認しろ」

「もし気が変わったら、書き直せますか?」

「もちろんだ。遺言は、いつでも撤回できる。しかも前の遺言と後の遺言が食い違う部分は、後の遺言で撤回したものとみなされる。日付の新しいほうが勝つ、と覚えておけばいい。だから日付が超重要なんだ」

桜井くんは、方式の違いを手帳に表で整理した。

― 桜井くんの手帳 ―
・遺言は満15歳からできる(未成年でも単独で可)。
・自筆証書=全文・日付・氏名を自書+押印。財産目録はPC可(各ページ署名押印)。
・公正証書=証人2人以上+公証人。
・検認:自筆証書は原則必要/公正証書は不要(法務局保管の自筆証書も不要)。
・遺言はいつでも撤回できる。抵触する前の遺言は、後の遺言で撤回とみなす(新しい日付が勝つ)。
遺言の主な方式
作り方検認
自筆証書遺言全文・日付・氏名を自書し押印(財産目録はPC可・各ページ署名押印)原則必要
公正証書遺言証人2人以上の立会いで公証人が作成不要
秘密証書遺言内容を秘密にして存在だけを証明してもらう必要

この物語の“宅建ポイント”

  • 満15歳に達した者は、遺言をすることができる。未成年者でも、15歳以上であれば単独で有効な遺言ができる。
  • 自筆証書遺言は、全文・日付・氏名を自書し、押印する。相続財産の目録を添付する場合、その目録はパソコン等で作成できるが、各ページに署名押印が必要。
  • 公正証書遺言は、証人2人以上の立会いのもとで作成し、家庭裁判所の検認は不要。これに対し、自筆証書遺言・秘密証書遺言は原則として検認が必要(法務局保管の自筆証書遺言は検認不要)。
  • 遺言はいつでも撤回でき、前の遺言が後の遺言と抵触する部分は、後の遺言で撤回したものとみなされる。

この論点を、肢で確かめる遺言は「15歳・自書・検認の要否・撤回」を入れ替えて問う相続の定番。肢別ドリルの「権利関係 → 相続(遺言)」で、〇×を繰り返して方式の違いを固めましょう。

肢別ドリルで解く →
※本コラムは学習用の読み物です。遺言の方式・検認・保管制度の細目は法改正により変わることがあります。受験・実務にあたっては最新の民法・関係法令をご確認ください。