行為能力に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。
- 成年被後見人が行った法律行為は、事理を弁識する能力がある状態で行われたものであっても、取り消すことができる。ただし、日用品の購入その他日常生活に関する行為については、この限りではない。
- 未成年者が、法定代理人の同意を得ずに負担付贈与を受ける契約を締結した場合、単に権利を得る法律行為に当たるため、当該未成年者は、これを取り消すことができない。
- 精神上の障害により事理を弁識する能力が不十分である者につき、4親等内の親族から補助開始の審判の請求があった場合、家庭裁判所は、その事実が認められるときは、本人の同意がないときであっても、同審判をすることができる。
- 被保佐人が、保佐人の同意又はこれに代わる家庭裁判所の許可を得ないでした土地の売却は、被保佐人が行為能力者であることを相手方に信じさせるため詐術を用いたときであっても、取り消すことができる。
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正しい。成年被後見人の法律行為は、取り消すことができる(民法9条本文)。成年被後見人は事理を弁識する能力を欠く常況にある者であり、たまたま判断能力を回復している状態で行った行為であっても、取消しの対象となる。ただし、日用品の購入その他日常生活に関する行為については、取り消すことができない(同条ただし書)。本肢はこの原則と例外を正しく述べており、本問の正解である。
誤り。未成年者が法律行為をするには、原則としてその法定代理人の同意を得なければならず、同意を得ないでした行為は取り消すことができる(民法5条1項本文・2項)。もっとも、単に権利を得、又は義務を免れる法律行為については同意を要しない(同条1項ただし書)。しかし、負担付贈与は受贈者に一定の負担(義務)を伴うものであり、「単に権利を得る」行為には当たらないから、法定代理人の同意が必要であり、同意なくされた契約は取り消すことができる。
誤り。補助開始の審判は、本人以外の者(配偶者、4親等内の親族、検察官等)の請求によってする場合には、本人の同意がなければすることができない(民法15条2項)。補助は保護の程度が最も軽く、自己決定の尊重が特に要請されるためである。したがって、4親等内の親族の請求があっても、本人の同意がなければ補助開始の審判をすることはできない。なお、後見開始・保佐開始の審判には本人の同意は不要である点と対比される。
誤り。制限行為能力者が行為能力者であることを信じさせるため詐術を用いたときは、その行為を取り消すことができない(民法21条)。相手方の信頼を保護し、詐術を用いるような制限行為能力者を保護する必要はないからである。被保佐人が詐術を用いて土地を売却した場合、被保佐人はもはやこれを取り消すことができないから、「取り消すことができる」とする本肢は誤りである。
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