次の1から4までの記述のうち、民法の規定及び下記判決文によれば、明らかに誤っているものはどれか。<br><br>(判決文)<br>売買の目的物である新築建物に重大な瑕疵がありこれを建て替えざるを得ない場合において、当該瑕疵が構造耐力上の安全性にかかわるものであるため建物が倒壊する具体的なおそれがあるなど、社会通念上、建物自体が社会経済的な価値を有しないと評価すべきものであるときには、上記建物の買主がこれに居住していたという利益については、当該買主からの工事施工者等に対する建て替え費用相当額の損害賠償請求において損益相殺ないし損益相殺的な調整の対象として損害額から控除することはできないと解するのが相当である。
- 売買の目的物である新築建物に重大な瑕疵がありこれを建て替えざるを得ない場合、買主は、工事施工者に対して損害賠償請求をすることができる。
- 売買の目的物である新築建物に、建て替えざるを得ないような重大な契約不適合があって契約の目的を達成できない場合には、買主は売買契約を解除することができる。
- 売買の目的物である新築建物に建て替えざるを得ない重大な瑕疵があり、同建物が社会通念上社会経済的な価値を有しないと評価すべきものである場合、当該建物が現実に倒壊していないのであれば、買主からの工事施工者に対する建て替え費用相当額の損害賠償請求において、買主の居住利益が損害額から控除される。
- 売買の目的物である新築建物に建て替えざるを得ない重大な瑕疵があり、同建物が社会通念上社会経済的な価値を有しないと評価すべきものである場合、買主が当該建物に居住したまま工事施工者に対して建て替え費用相当額の損害賠償を請求しても、買主の居住利益が損害額から控除されることはない。
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誤っていない。判例は、建物の建築に携わる設計者・施工者等は、建物の基本的な安全性が欠けることがないように配慮すべき注意義務を負い、これを怠って建物としての基本的な安全性を損なう瑕疵があった場合には、これによって生命・身体・財産を侵害された者に対し不法行為による損害賠償責任を負うとしている(最判平19.7.6)。買主は契約関係にない工事施工者に対しても損害賠償請求をすることができる。
誤っていない。引き渡された目的物が種類・品質・数量に関して契約の内容に適合しないものであるときは、買主は履行の追完の催告をした上で契約の解除をすることができ(民法564条・541条)、契約をした目的を達することができないときは催告をすることなく直ちに解除することができる(564条・542条1項3号・5号)。建て替えざるを得ないほど重大な契約不適合であれば、契約の目的を達成できないとして解除することができる。
明らかに誤っている。判決文は、建物が社会通念上社会経済的な価値を有しないと評価すべきものであるときは、買主が居住していたという利益を建て替え費用相当額の損害賠償において損益相殺ないし損益相殺的な調整の対象として損害額から控除することはできない、としている。本肢は「居住利益が損害額から控除される」とするもので判決文と正反対であり、本問の正解である。なお、判決文は「建物が倒壊する具体的なおそれがあるなど」と述べており、現実に倒壊していることを要件としていない点にも注意したい。
誤っていない。判決文は、居住していたという利益を控除することはできないとしており、買主が現に当該建物に居住したまま損害賠償を請求する場合であっても、居住利益が損害額から控除されることはない。判決文の内容に沿った記述である。
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