Aは不動産の売却を妻の父であるBに委任し、売却に関する代理権をBに付与した。この場合に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。
- Bは、やむを得ない事由があるときは、Aの許諾を得なくとも、復代理人を選任することができる。
- Bが、Bの友人Cを復代理人として選任することにつき、Aの許諾を得たときは、Bはその選任に関し過失があったとしても、Aに対し責任を負わない。
- Bが適法にDを復代理人として選任した場合であっても、Dは、その権限内でした行為の効果をBに対してのみ生じさせ、本人Aに対しては何らの権利も有せず義務も負わない。
- Bが復代理人Eを適法に選任したときは、EはAに対して、代理人と同一の権利を有し、義務を負うため、Bの代理権は消滅する。
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正しい。委任による代理人(任意代理人)は、本人の許諾を得たとき、又はやむを得ない事由があるときでなければ、復代理人を選任することができない(民法104条)。裏を返せば、やむを得ない事由があるときは、本人の許諾を得なくとも復代理人を選任することができる。本肢は正しく、本問の正解である。
誤り。かつては、任意代理人が本人の許諾を得て復代理人を選任した場合の選任・監督責任等を定める規定(旧105条)があったが、令和2年4月1日施行の改正民法によりこの規定は削除された。現在では、任意代理人は、復代理人の選任・監督について、本人との委任契約に基づく善良な管理者の注意義務(民法644条)を負い、これに違反すれば債務不履行責任を負う(415条)。したがって、許諾を得て選任した場合でも、選任に過失があれば責任を負い得るのであって、「責任を負わない」とする本肢は誤りである。
誤り。復代理人は、その権限の範囲内において、本人を代表(代理)し、本人及び第三者に対して代理人と同一の権利を有し、義務を負う(民法106条)。復代理人が権限内でした行為の効果は本人Aに帰属し、復代理人は本人に対して直接に権利義務を有するから、「本人に対しては何らの権利も有せず義務も負わない」とする本肢は誤りである。
誤り。復代理人を選任しても、代理人の代理権は消滅しない。代理人は復代理人を選任した後も引き続き代理権を有し、復代理人と並存する。「Bの代理権は消滅する」とする本肢は誤りである。
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