不動産の物権変動の対抗要件に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。なお、この問において、第三者とはいわゆる背信的悪意者を含まないものとする。
- 不動産売買契約に基づく所有権移転登記がなされた後に、売主が当該契約に係る意思表示を詐欺によるものとして適法に取り消した場合、売主は、その旨の登記をしなければ、当該取消後に当該不動産を買主から取得して所有権移転登記を経た第三者に所有権を対抗できない。
- 不動産売買契約に基づく所有権移転登記がなされた後に、売主が当該契約を適法に解除した場合、売主は、その旨の登記をしなければ、当該契約の解除後に当該不動産を買主から取得して所有権移転登記を経た第三者に所有権を対抗できない。
- 甲不動産につき兄と弟が各自2分の1の共有持分で共同相続した後に、兄が弟に断ることなく単独で所有権を相続取得した旨の登記をした場合、弟は、その共同相続の登記をしなければ、共同相続後に甲不動産を兄から取得して所有権移転登記を経た第三者に自己の持分権を対抗できない。
- 取得時効の完成により乙不動産の所有権を適法に取得した者は、その旨を登記しなければ、時効完成後に乙不動産を旧所有者から取得して所有権移転登記を経た第三者に所有権を対抗できない。
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正しい。詐欺を理由とする取消し後に、取り消した売主から所有権が復帰する物権変動と、取消後に買主から不動産を取得した第三者との関係は、対抗問題として登記の先後で決する(判例)。したがって、売主は取消しによる復帰につき登記をしなければ、取消後の第三者に所有権を対抗できない。本肢は正しい。
正しい。契約の解除後に、解除した売主に所有権が復帰する物権変動と、解除後に買主から不動産を取得した第三者との関係も、対抗問題として登記の先後で決する(判例)。したがって、売主は解除の登記をしなければ、解除後の第三者に所有権を対抗できない。本肢は正しい。
誤り。共同相続において、共同相続人の一人が単独相続の登記をして第三者に処分しても、他の相続人は、自己の法定相続分に相当する持分については、登記がなくても第三者に対抗することができる(民法899条の2、判例)。法定相続分を超える部分についてのみ対抗要件が必要である。弟の持分2分の1は法定相続分であるから、登記がなくても対抗でき、「登記をしなければ対抗できない」とする本肢は誤りであり、本問の正解である。
正しい。取得時効の完成後に、時効取得者と、時効完成後に旧所有者から不動産を取得した第三者との関係は、対抗問題として登記の先後で決する(判例)。したがって、時効取得者は登記をしなければ、時効完成後の第三者に所有権を対抗できない。本肢は正しい。
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