Aが故意又は過失によりBの権利を侵害し、これによってBに損害が生じた場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。
- Aの加害行為によりBが即死した場合には、BにはAに対する慰謝料請求権が発生したと考える余地はないので、Bに相続人がいても、その相続人がBの慰謝料請求権を相続することはない。
- Aの加害行為がBからの不法行為に対して自らの利益を防衛するためにやむを得ず行ったものであっても、Aは不法行為責任を負わなければならないが、Bからの損害賠償請求に対しては過失相殺をすることができる。
- AがCに雇用されており、AがCの事業の執行につきBに加害行為を行った場合には、CがBに対する損害賠償責任を負うのであって、CはAに対して求償することもできない。
- Aの加害行為が名誉毀損で、Bが法人であった場合、法人であるBには精神的損害は発生しないとしても、金銭評価が可能な無形の損害が発生した場合には、BはAに対して損害賠償請求をすることができる。
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誤り。判例は、被害者が即死した場合であっても、傷害と死亡との間に観念上時間の間隔があるとして、被害者本人に慰謝料請求権が発生し、これが相続人に相続されるとしている(判例)。したがって、Bに相続人がいれば、その相続人はBの慰謝料請求権を相続することができる。「発生する余地はない」とする本肢は誤りである。
誤り。他人の不法行為に対し、自己又は第三者の権利・利益を防衛するため、やむを得ず加害行為をした者は、損害賠償の責任を負わない(正当防衛。民法720条1項本文)。正当防衛が成立する以上、Aはそもそも不法行為責任を負わないのであって、「責任を負うが過失相殺できる」とする本肢は誤りである。
誤り。使用者が被用者の加害行為につき使用者責任(民法715条1項)を負い被害者に賠償した場合、使用者は被用者に対して、信義則上相当と認められる限度で求償することができる(同条3項、判例)。また被用者A自身も一般不法行為責任(709条)を免れない。「求償することもできない」とする本肢は誤りである。
正しい。判例は、法人の名誉が毀損された場合、法人には精神的損害(慰謝料)は観念できないものの、金銭評価が可能な無形の損害が生じたときは、その賠償を請求できるとしている(民法710条、判例)。したがって、法人Bは、無形の損害が生じた場合にはAに対し損害賠償を請求できる。本肢が本問の正解である。
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