Aには、相続人となる子BとCがいる。Aは、Cに老後の面倒をみてもらっているので、「甲土地を含む全資産をCに相続させる」旨の有効な遺言をした。この場合の遺留分に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。
- Bの遺留分を侵害するAの遺言は、その限度で当然に無効である。
- Bが、Aの死亡の前に、A及びCに対して直接、書面で遺留分を放棄する意思表示をしたときは、その意思表示は有効である。
- Aが死亡し、その遺言に基づき甲土地につきAからCに対する所有権移転登記がなされた後でも、Bは、遺留分侵害額に相当する金銭の支払をCに対して請求することができる。
- Bの遺留分侵害額請求権は、Bが相続の開始及び遺留分を侵害する遺贈があったことを知った時から3年間行使しないときは時効によって消滅し、相続開始の時から20年を経過したときも同様に消滅する。
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誤り。遺留分を侵害する遺贈や贈与も、それ自体が当然に無効となるわけではない。遺留分権利者は、受遺者又は受贈者に対し、遺留分侵害額に相当する金銭の支払を請求できる(遺留分侵害額請求権。民法1046条1項)にとどまる。したがって、Bの遺留分を侵害するAの遺言が「その限度で当然に無効」となるとする本肢は誤りである。
誤り。相続の開始前における遺留分の放棄は、家庭裁判所の許可を受けたときに限り、その効力を生ずる(民法1049条1項)。被相続人による事実上の強要を防ぐ趣旨である。したがって、家庭裁判所の許可を受けずに、A及びCに対して直接書面で放棄の意思表示をしても、その放棄は効力を生じない。本肢は誤りである。
正しい。遺留分侵害額請求権は、遺贈や贈与の目的物について所有権移転登記がされた後であっても行使することができる。遺留分侵害額請求は、受遺者等に対して遺留分侵害額に相当する金銭の支払を求める金銭債権の行使であって(民法1046条1項)、目的物の登記の有無に左右されない。したがって、Cへ所有権移転登記がされた後でも、BはCに対し遺留分侵害額に相当する金銭の支払を請求できる。本肢が本問の正解である。
誤り。遺留分侵害額の請求権は、遺留分権利者が、相続の開始及び遺留分を侵害する贈与又は遺贈があったことを知った時から1年間行使しないときは、時効によって消滅する。相続開始の時から10年を経過したときも、同様である(民法1048条)。「3年間」「20年」とする本肢は期間を誤っており、誤りである。
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