法定地上権に関する次の1から4までの記述のうち、民法の規定、判例及び下記判決文によれば、誤っているものはどれか。<br><br>(判決文)<br>土地について1番抵当権が設定された当時、土地と地上建物の所有者が異なり、法定地上権成立の要件が充足されていなかった場合には、土地と地上建物を同一人が所有するに至った後に後順位抵当権が設定されたとしても、その後に抵当権が実行され、土地が競落されたことにより1番抵当権が消滅するときには、地上建物のための法定地上権は成立しないものと解するのが相当である。
- 土地及びその地上建物の所有者が同一である状態で、土地に1番抵当権が設定され、その実行により土地と地上建物の所有者が異なるに至ったときは、地上建物について法定地上権が成立する。
- 更地である土地の抵当権者が抵当権設定後に地上建物が建築されることを承認した場合であっても、土地の抵当権設定時に土地と所有者を同じくする地上建物が存在していない以上、地上建物について法定地上権は成立しない。
- 土地に1番抵当権が設定された当時、土地と地上建物の所有者が異なっていたとしても、2番抵当権設定時に土地と地上建物の所有者が同一人となれば、土地の抵当権の実行により土地と地上建物の所有者が異なるに至ったときは、地上建物について法定地上権が成立する。
- 土地の所有者が、当該土地の借地人から抵当権が設定されていない地上建物を購入した後、建物の所有権移転登記をする前に土地に抵当権を設定した場合、当該抵当権の実行により土地と地上建物の所有者が異なるに至ったときは、地上建物について法定地上権が成立する。
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誤っていない。土地及びその上に存する建物が同一の所有者に属する場合において、その土地又は建物につき抵当権が設定され、その実行により所有者を異にするに至ったときは、その建物について、地上権が設定されたものとみなされる(民法388条=法定地上権)。土地建物が同一所有の状態で土地に1番抵当権が設定され、その実行により所有者が異なるに至った本記述では、法定地上権が成立する。
誤っていない。判例は、更地に抵当権が設定された後に建物が築造された場合には、抵当権者が建物の築造を承認していたとしても、法定地上権は成立しないとしている(大判大4.7.1)。抵当権設定時に建物が存在しないため、更地としての担保価値を把握した抵当権者の期待を保護すべきだからである。設定時に土地と所有者を同じくする建物が存在していない以上、法定地上権は成立しない。
誤り(=判決文に反する)。判決文が述べるとおり、土地について1番抵当権が設定された当時に土地と地上建物の所有者が異なっていた場合には、その後、2番抵当権設定時までに土地と建物が同一人の所有となり、その後に1番抵当権が実行されて所有者を異にするに至ったとしても、地上建物のための法定地上権は成立しない(最判平2.1.22)。1番抵当権者は設定時に法定地上権の負担がないものとして土地の担保価値を把握しているからである。本記述は「法定地上権が成立する」とする点で判決文に反し誤りであり、本問の正解である。
誤っていない。判例は、土地の所有者が借地人から地上建物を買い受けて土地と建物が同一人の所有に帰した後、建物について所有権移転登記を経由する前に土地に抵当権が設定された場合であっても、抵当権の実行により所有者を異にするに至ったときは、法定地上権が成立するとしている(最判昭48.9.18)。法定地上権の成立要件としての土地・建物の同一所有は実体上の所有関係で判断され、建物についての登記の有無は問わないからである。
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