Aを売主、Bを買主として甲土地の売買契約を締結した場合における次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。
- Aが所有する甲土地に、Aが気付かなかった契約の内容に適合しない事情があり、その事情についてBも気付いておらず、かつ、気付かなかったことにつき過失がないような場合には、Aは担保責任を負う必要はない。
- BがAに解約手付を交付している場合、Aが契約の履行に着手していない場合であっても、Bが自ら履行に着手していれば、Bは手付を放棄して売買契約を解除することができない。
- 甲土地がAの所有地ではなく、他人の所有地であった場合には、AB間の売買契約は無効である。
- Aが所有する甲土地に抵当権の登記があり、Bが当該土地の抵当権消滅請求をした場合には、Bは当該請求の手続が終わるまで、Aに対して売買代金の支払を拒むことができる。
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誤り。引き渡された目的物が種類、品質又は数量に関して契約の内容に適合しないものであるときは、買主は、売主に対し、履行の追完の請求、代金の減額の請求、損害賠償の請求及び契約の解除をすることができる(民法562条〜564条)。契約不適合責任は売主の無過失責任であり、売主が不適合に気付かなかったこと(善意無過失であること)は責任を免れる理由とはならない。損害賠償については売主の帰責事由が必要であるが(564条・415条)、追完請求・代金減額・解除は帰責事由を問わない。したがって、Aが担保責任を負う必要はないとする本肢は誤りである。
誤り。買主が売主に手付を交付したときは、買主はその手付を放棄して契約の解除をすることができるが、その相手方が契約の履行に着手した後は、この限りでない(民法557条1項)。判例は、履行に着手した当事者自身からの解除は妨げられず、解除が制限されるのは「相手方」が履行に着手した場合であるとしている。Aが履行に着手していない以上、Bは自ら履行に着手していても、手付を放棄して契約を解除することができる。
誤り。他人の権利(権利の一部が他人に属する場合を含む。)を売買の目的としたときであっても、売買契約は有効に成立する(民法561条参照)。この場合、売主は、その権利を取得して買主に移転する義務を負う。したがって、甲土地が他人の所有地であっても、AB間の売買契約は無効ではない。
正しい。買い受けた不動産について契約の内容に適合しない抵当権の登記があるときは、買主は、抵当権消滅請求の手続が終わるまで、その代金の支払を拒むことができる(民法577条1項前段)。この場合、売主は、買主に対し、遅滞なく抵当権消滅請求をすべき旨を請求することができる(同項後段)。したがって本肢は正しく、本問の正解である。
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