A所有の甲建物につき、Bが一時使用目的ではなく賃料月額10万円で賃貸借契約を締結する場合と、Cが適当な家屋に移るまでの一時的な居住の目的として無償で使用貸借契約を締結する場合に関する次の記述のうち、民法及び借地借家法の規定並びに判例によれば、誤っているものはどれか。
- BがAに無断で甲建物を転貸しても、Aに対する背信的行為と認めるに足らない特段の事情があるときは、Aは賃貸借契約を解除できないのに対し、CがAに無断で甲建物を転貸した場合には、Aは使用貸借契約を解除できる。
- 期間の定めがない場合、AはBに対して正当な事由があるときに限り、解約を申し入れることができるのに対し、返還時期の定めがない場合、AはCに対していつでも返還を請求できる。
- Aが甲建物をDに売却した場合、甲建物の引渡しを受けて甲建物で居住しているBはDに対して賃借権を主張することができるのに対し、Cは甲建物の引渡しを受けて甲建物に居住していてもDに対して使用借権を主張することができない。
- Bが死亡しても賃貸借契約は終了せず賃借権はBの相続人に相続されるのに対し、Cが死亡すると使用貸借契約は終了するので使用借権はCの相続人に相続されない。
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正しい。賃借人が賃貸人の承諾を得ずに賃借物を第三者に使用収益させたときは、賃貸人は原則として契約を解除することができる(民法612条2項)が、判例は、その行為が賃貸人に対する背信的行為と認めるに足りない特段の事情があるときは、解除することができないとしている。これに対し、使用貸借では、借主は貸主の承諾を得なければ第三者に借用物を使用収益させることができず、これに違反したときは貸主は契約を解除することができる(民法594条2項・3項)。したがって本肢は正しい。
誤り。前段(建物賃貸借)は正しい。期間の定めのない建物賃貸借において、賃貸人が解約の申入れをするには正当の事由が必要である(借地借家法27条・28条)。しかし後段が誤っている。使用貸借において当事者が返還の時期を定めなかった場合であっても、使用及び収益の目的を定めたときは、貸主は、借主がその目的に従い使用収益を終えた時、又は使用収益をするのに足りる期間を経過した時に契約の解除(返還請求)をすることができるにとどまる(民法598条1項)。本件のCには「適当な家屋に移るまでの一時的な居住」という使用の目的が定められているから、貸主Aはいつでも返還を請求できるわけではない。したがって本肢は誤りであり、本問の正解である。なお、返還時期も使用収益の目的も定めなかったときは、貸主はいつでも解除(返還請求)することができる(同条2項)。
正しい。建物の賃貸借は、その登記がなくても、建物の引渡しがあったときは、その後その建物について物権を取得した者に対抗することができる(借地借家法31条)。したがって、引渡しを受けて居住しているBは新所有者Dに賃借権を対抗できる。これに対し、使用貸借には賃貸借のような対抗力を認める規定がないから、Cは引渡しを受けて居住していても、使用借権を第三者Dに対抗することはできない。
正しい。使用貸借は、借主の死亡によって終了する(民法597条3項)。使用貸借は貸主と借主との個人的な信頼関係に基づく無償の契約だからである。したがって、Cが死亡すると使用貸借は終了し、使用借権はCの相続人に相続されない。これに対し、賃貸借は借主の死亡によっては終了せず、賃借権は相続の対象となるから、Bが死亡すれば賃借権はBの相続人に相続される。
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