所有権及びそれ以外の財産権の取得時効に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。
- 土地の賃借権は、物権ではなく、契約に基づく債権であるので、土地の継続的な用益という外形的かつ客観的事実が存在したとしても、時効によって取得することはできない。
- 自己の所有と信じて占有している土地の一部に、隣接する他人の土地の筆の一部が含まれていても、他の要件を満たせば、当該他人の土地の一部の所有権を時効によって取得することができる。
- 時効期間は、時効の基礎たる事実が開始された時を起算点としなければならず、時効援用者において起算点を選択し、時効完成の時期を早めたり遅らせたりすることはできない。
- 通行地役権は、継続的に行使され、かつ、外形上認識することができるものに限り、時効によって取得することができる。
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誤り。所有権以外の財産権を、自己のためにする意思をもって、平穏に、かつ、公然と行使する者は、20年(その財産権を行使する者が善意無過失であれば10年)を経過した後、その権利を取得する(民法163条)。判例は、土地の継続的な用益という外形的事実が存在し、かつ、それが賃借の意思に基づくことが客観的に表現されているときは、土地賃借権も時効によって取得することができるとしている。債権であることを理由に時効取得を否定する本肢は誤りであり、本問の正解である。
正しい。取得時効の対象は必ずしも一筆の土地全体である必要はなく、一筆の土地の一部であっても、その部分を特定して所有の意思をもって平穏かつ公然と占有していれば、他の要件を満たす限り時効取得することができる(民法162条、判例)。境界を誤って隣地の一部を自己の土地として占有し続けた場合が典型例である。
正しい。判例は、時効の起算点は時効の基礎となる事実が現実に開始された時点に固定されるべきであり、時効を援用する者が任意にこれを繰り下げたり繰り上げたりすることは許されないとしている(最判昭35.7.27)。起算点の選択を認めると、第三者が登場した時期との関係で時効完成の前後を意のままに操作できてしまい、法律関係が不安定になるからである。
正しい。地役権は、継続的に行使され、かつ、外形上認識することができるものに限り、時効によって取得することができる(民法283条)。通行地役権についていえば、承役地の上に通路を開設するなど客観的に認識できる状態が継続していることが必要であり、判例は、この通路の開設は要役地の所有者によってされることを要するとしている。
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