AはBから2,000万円を借り入れて土地とその上の建物を購入し、Bを抵当権者として当該土地及び建物に2,000万円を被担保債権とする抵当権を設定し、登記した。この場合における次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。
- AがBとは別にCから500万円を借り入れた場合、Bとの抵当権設定契約がCとの抵当権設定契約より先であっても、Cを抵当権者とする抵当権設定登記の方がBを抵当権者とする抵当権設定登記より先であるときは、Cを抵当権者とする抵当権が第1順位となる。
- 当該建物に火災保険が付されていて、当該建物が火災によって焼失してしまった場合、Bの抵当権は、その火災保険契約に基づく損害保険金請求権に対しても行使することができる。
- Bの抵当権設定登記後にAがDに対して当該建物を賃貸し、当該建物をDが使用している状態で抵当権が実行され当該建物が競売された場合、Dは競落人に対して直ちに当該建物を明け渡す必要はない。
- AがBとは別に事業資金としてEから500万円を借り入れる場合、当該土地及び建物の購入代金が2,000万円であったときには、Bに対して500万円以上の返済をした後でなければ、当該土地及び建物にEのために2番抵当権を設定することはできない。
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正しい。同一の不動産について数個の抵当権が設定されたときは、その抵当権の順位は、登記の前後による(民法373条)。抵当権設定契約の先後ではなく登記の先後で決まるから、Cの登記が先であればCの抵当権が第1順位となる。
正しい。抵当権は、その目的物の売却、賃貸、滅失又は損傷によって債務者が受けるべき金銭その他の物に対しても行使することができる(民法372条が準用する304条=物上代位)。判例は、火災によって建物が焼失した場合の火災保険金請求権も物上代位の対象となるとしている。ただし、抵当権者はその払渡し又は引渡しの前に差押えをしなければならない(304条1項ただし書)。
正しい。抵当権者に対抗することができない賃貸借により抵当権の目的である建物の使用又は収益をする者であって、競売手続の開始前から使用又は収益をする者は、その建物の競売における買受人の買受けの時から6か月を経過するまでは、その建物を買受人に引き渡すことを要しない(民法395条1項=建物明渡猶予制度)。したがってDは直ちに明け渡す必要はない。
誤り。抵当権者は、債務者又は第三者が占有を移転しないで債務の担保に供した不動産について、他の債権者に先立って自己の債権の弁済を受ける権利を有する(民法369条1項)。同一の不動産に複数の抵当権を設定することは自由であり、先順位の被担保債権がどれだけ残っているか、目的物の価額がいくらかによって制限されるものではない。後順位抵当権者は自らの担保価値の残りを見極めて設定を受けるかどうかを判断すればよい。したがって、Bに対する返済の有無にかかわらず2番抵当権を設定することができ、本肢は誤りであって本問の正解である。
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