Aは、B所有の甲建物につき、居住を目的として、期間2年、賃料月額10万円と定めた賃貸借契約をBと締結して建物の引渡しを受けた。この場合における次の記述のうち、民法及び借地借家法の規定並びに判例によれば、誤っているものはどれか。
- 本件契約期間中にBが甲建物をCに売却した場合、Aは甲建物に賃借権の登記をしていなくても、Cに対して甲建物の賃借権があることを主張することができる。
- AがBとの間の信頼関係を破壊し、本件契約の継続を著しく困難にした場合であっても、Bが本件契約を解除するためには催告が必要である。
- 本件契約が定期建物賃貸借契約であって、造作買取請求権を排除する特約がない場合、Bの同意を得てAが甲建物に付加した造作については、期間満了で本件契約が終了するときに、Aは造作買取請求権を行使できる。
- 本件契約が定期建物賃貸借契約であって、賃料の改定に関する特約がない場合、契約期間中に賃料が不相当になったと考えたA又はBは、賃料の増減額請求権を行使できる。
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正しい。建物の賃貸借は、その登記がなくても、建物の引渡しがあったときは、その後その建物について物権を取得した者に対し、その効力を生ずる(借地借家法31条)。Aは引渡しを受けているから、賃借権の登記がなくても新所有者Cに対して賃借権を主張することができる。
誤り。判例は、賃借人の債務不履行により当事者間の信頼関係が破壊され、賃貸借契約の継続を著しく困難ならしめる事情があるときは、賃貸人は催告をすることなく契約を解除することができるとしている。賃貸借は継続的な信頼関係を基礎とする契約だからである。催告が必要とする本肢は誤りであり、本問の正解である。なお、現行民法542条1項5号も、催告をしても契約をした目的を達するのに足りる履行がされる見込みがないことが明らかであるときは無催告解除ができる旨を定めている。
正しい。建物の賃貸人の同意を得て建物に付加した畳、建具その他の造作がある場合には、建物の賃借人は、建物の賃貸借が期間の満了又は解約の申入れによって終了するときに、建物の賃貸人に対し、その造作を時価で買い取るべきことを請求することができる(借地借家法33条1項)。造作買取請求権を定める33条は、賃借人に不利な特約を無効とする強行規定(37条)の列挙から外れた任意規定であり、これを排除する特約は有効であるが、本肢では排除特約がないのであるから、定期建物賃貸借であってもAは造作買取請求権を行使できる。
正しい。建物の借賃が不相当となったときは、契約の条件にかかわらず、当事者は将来に向かって建物の借賃の額の増減を請求することができる(借地借家法32条1項)。定期建物賃貸借において借賃の改定に係る特約がある場合には32条の適用が排除されるが(同法38条9項)、本肢では賃料の改定に関する特約がないのであるから32条が適用され、A・Bとも賃料の増減額請求権を行使できる。
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