Aは、Bに対し建物を賃貸し、Bは、その建物をAの承諾を得てCに対し適法に転貸している。この場合における次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。
- BがAに対して賃料を支払わない場合、Aは、Bに対する賃料の限度で、Cに対し、Bに対する賃料を自分に直接支払うよう請求することができる。
- Aは、Bに対する賃料債権に関し、Bが建物に備え付けた動産、及びBのCに対する賃料債権について先取特権を有する。
- Aが、Bとの賃貸借契約を合意解除しても、特段の事情がない限り、Cに対して、合意解除の効果を対抗することができない。
- Aは、Bの債務不履行を理由としてBとの賃貸借契約を解除するときは、事前にCに通知等をして、賃料を代払いする機会を与えなければならない。
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正しい。賃借人が適法に賃借物を転貸したときは、転借人は、賃貸人と賃借人との間の賃貸借に基づく賃借人の債務の範囲を限度として、賃貸人に対して転貸借に基づく債務を直接履行する義務を負う(民法613条1項前段)。したがってAは、Bに対する賃料の限度でCに対し直接自分に支払うよう請求することができる。
正しい。不動産の賃貸人は、賃料その他の賃貸借関係から生じた賃借人の債務に関し、賃借人がその建物に備え付けた動産の上に先取特権を有する(民法312条・313条2項)。また、賃借権の譲渡又は転貸の場合には、賃貸人の先取特権は、譲受人又は転借人の動産にも及び、譲渡人又は転貸人が受けるべき金銭(=転貸賃料債権)にも及ぶ(民法314条)。
正しい。賃借人が適法に賃借物を転貸した場合には、賃貸人は、賃借人との間の賃貸借を合意により解除したことをもって転借人に対抗することができない(民法613条3項本文)。賃貸人と賃借人が合意で転借人の地位を奪うことは信義に反するからである。ただし、その解除の当時、賃貸人が賃借人の債務不履行による解除権を有していたときはこの限りでない(同項ただし書)。
誤り。判例は、賃貸人が賃借人の債務不履行を理由として賃貸借契約を解除するには、転借人に対して延滞賃料の代払いの機会を与えなければならないものではないとしている(最判平6.7.18)。転貸借は賃貸借を基礎とするものであり、賃貸借が債務不履行で解除されれば転貸借もその履行不能により終了する。本肢が本問の正解である。
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