宅地建物取引業者A社が、自ら売主として宅地建物取引業者でない買主Bとの間で締結する建築工事完了後の建物の売買契約に関する次の記述のうち、民法及び宅地建物取引業法の規定並びに判例によれば、誤っているものはどれか。
- 当該契約の締結に際し、BがA社に手付金を支払い、さらに中間金を支払った場合、Bは、A社が契約の履行に着手しないときであっても、支払った手付金を放棄して契約の解除をすることができない。
- 当該契約の締結に際し、A社がBから代金の額の10分の2の手付金を受領する場合には、当該手付金を受領するまでに、宅地建物取引業法第41条の2の規定に基づく保全措置を講じなければならない。
- 当該契約において、当事者の債務の不履行を理由とする契約の解除に伴う損害賠償の額を予定し、違約金を定める場合、これらを合算した額について代金の額の10分の1とする旨の特約を定めることができる。
- 当該契約において、Bが契約不適合責任に基づく請求をすることができる期間として、Bが契約不適合を知った時から2年間とする旨の特約を定めることができる。
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誤り。手付が交付されたときは、買主はその手付を放棄して契約の解除をすることができるが、その相手方が契約の履行に着手した後は解除することができない(宅建業法39条2項、民法557条1項)。判例は、履行に着手した当事者自身からの解除は妨げられず、解除が制限されるのは「相手方」が履行に着手した場合であるとしている。Bが中間金を支払って自ら履行に着手していても、相手方であるA社が履行に着手していない以上、Bは手付を放棄して契約を解除することができる。本肢が本問の正解である。
正しい。宅地建物取引業者は、自ら売主となる売買契約において、保全措置を講じた後でなければ、買主から手付金等を受領してはならない(宅建業法41条の2第1項)。工事完了後の物件(完成物件)については、手付金等の額が代金の額の10%又は1,000万円を超える場合に保全措置が必要となる。代金の額の10分の2の手付金は10%を超えるから、受領するまでに保全措置を講じなければならない。なお、手付の額自体も代金の額の10分の2を超えることができない(同法39条1項)から、10分の2はその限度いっぱいである。
正しい。宅地建物取引業者は、自ら売主となる売買契約において、当事者の債務の不履行を理由とする契約の解除に伴う損害賠償の額を予定し、又は違約金を定めるときは、これらを合算した額が代金の額の10分の2を超えることとなる定めをしてはならない(宅建業法38条1項)。合算して代金の額の10分の1とする特約は10分の2以内であるから有効に定めることができる。
正しい。宅地建物取引業者は、自ら売主となる売買契約において、種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合におけるその不適合を担保すべき責任に関し、民法566条に規定する通知期間について目的物の引渡しの日から2年以上となる特約をする場合を除き、民法に規定するものより買主に不利となる特約をしてはならない(宅建業法40条1項)。民法566条は買主が不適合を知った時から1年以内の通知を求めているところ、「知った時から2年間」とする特約は買主に有利であるから、有効に定めることができる。
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