A所有の甲土地についての所有権移転登記と権利の主張に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。
- 甲土地につき、時効により所有権を取得したBは、時効完成前にAから甲土地を購入して所有権移転登記を備えたCに対して、時効による所有権の取得を主張することができない。
- 甲土地の賃借人であるDが、甲土地上に登記ある建物を有する場合に、Aから甲土地を購入したEは、所有権移転登記を備えていないときであっても、Dに対して、自らが賃貸人であることを主張することができる。
- Aが甲土地をFとGとに対して二重に譲渡してFが所有権移転登記を備えた場合に、AG間の売買契約の方がAF間の売買契約よりも先になされたことをGが立証できれば、Gは、登記がなくても、Fに対して自らが所有者であることを主張することができる。
- Aが甲土地をHとIとに対して二重に譲渡した場合において、Hが所有権移転登記を備えない間にIが甲土地を善意のJに譲渡してJが所有権移転登記を備えたときは、Iがいわゆる背信的悪意者であっても、Hは、Jに対して自らが所有者であることを主張することができない。
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誤り。判例は、時効完成前に原所有者から不動産を譲り受けて登記を備えた第三者に対しては、時効取得者は登記がなくても時効による所有権の取得を対抗できるとしている。第三者は時効取得者にとって当事者類似の地位に立つからである。したがって主張できないとする本肢は誤りである。
誤り。賃貸物である不動産の譲渡に伴う賃貸人たる地位の移転は、その不動産について所有権の移転の登記をしなければ、賃借人に対抗することができない(民法605条の2第3項。従来の判例が改正で明文化された)。登記を備えていないEは、Dに対して自らが賃貸人であることを主張できない。
誤り。不動産に関する物権の得喪及び変更は、登記をしなければ第三者に対抗することができない(民法177条)。二重譲渡において優劣を決するのは登記の先後であり、売買契約の締結が先であったことを立証しても、登記のないGは登記を備えたFに対抗できない。
正しい。判例(最判平成8年10月29日)は、背信的悪意者からの転得者は、その者自身が第一譲受人に対する関係で背信的悪意者と評価されない限り、登記を備えれば所有権取得を対抗できるとしている。善意のJが登記を備えている以上、HはJに対して所有者であることを主張できない。
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