問題
Aに雇用されているBが、勤務中にA所有の乗用車を運転し、営業活動のため得意先に向かっている途中で交通事故を起こし、歩いていたCに危害を加えた場合における次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。
- BのCに対する損害賠償義務が消滅時効にかかったとしても、AのCに対する損害賠償義務が当然に消滅するものではない。
- Cが即死であった場合には、Cには事故による精神的な損害が発生する余地がないので、AはCの相続人に対して慰謝料についての損害賠償責任を負わない。
- Aの使用者責任が認められてCに対して損害を賠償した場合には、AはBに対して求償することができるので、Bに資力があれば、最終的にはAはCに対して賠償した損害額の全額を常にBから回収することができる。
- Cが幼児である場合には、被害者側に過失があるときでも過失相殺が考慮されないので、AはCに発生した損害の全額を賠償しなければならない。
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正解は1番
肢ごとの解説
◯肢1
正しい。使用者責任は被用者の不法行為責任を前提とするものであるが、判例上、被用者の被害者に対する損害賠償義務が消滅時効にかかったからといって、使用者の被害者に対する損害賠償義務が当然に消滅するものではないと解されている。
根拠:民法715条・判例
×肢2
誤り。判例は、被害者が即死した場合であっても、被害者に生じた慰謝料請求権は当然に相続人に承継されるとしている。したがってAはCの相続人に対して慰謝料についての損害賠償責任を負う。
根拠:判例
×肢3
誤り。使用者は被害者に賠償した場合、被用者に対して求償することができる(民法715条3項)。もっとも判例は、事業の性格・規模、被用者の労働条件、加害行為の態様等に照らし、損害の公平な分担という見地から信義則上相当と認められる限度においてのみ求償できるとしている。常に全額を回収できるわけではない。
根拠:民法715条3項・判例
×肢4
誤り。判例は、被害者が幼児である場合であっても、その監督者である親などのいわゆる被害者側の過失は、損害賠償額を定めるにあたって過失相殺として考慮されるとしている(民法722条2項)。したがって全額を賠償しなければならないとはいえない。
根拠:民法722条2項・判例
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※解説は学習用です。法令・判例は改正等により変わることがあります。受験にあたっては最新の法令・公式情報をご確認ください。