問題
次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。
- 倒壊しそうなA所有の建物や工作物について、Aが倒壊防止の措置をとらないため、Aの隣に住むBがAのために最小限度の緊急措置をとったとしても、Aの承諾がなければ、Bはその費用をAに請求することはできない。
- 建物所有を目的とする借地人は、特段の事情がない限り、建物建築時に土地に石垣や擁壁の設置、盛土や杭打ち等の変形加工をするには、必ず賃貸人の承諾を得なければならない。
- 建物の賃貸人が必要な修繕義務を履行しない場合、賃借人は目的物の使用収益に関係なく賃料全額の支払を拒絶することができる。
- 建物の賃貸人が賃貸物の保存に必要な修繕をする場合、賃借人は修繕工事のため使用収益に支障が生じても、これを拒むことはできない。
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正解は4番
肢ごとの解説
×肢1
誤り。義務なく他人のために事務の管理を始めた者は事務管理として、本人のために有益な費用を支出したときは、本人に対しその償還を請求することができる(民法697条・702条1項)。本人の承諾は事務管理の要件ではないから、BはAの承諾がなくても費用の償還を請求できる。
根拠:民法697条・702条
×肢2
誤り。判例は、建物所有を目的とする土地の賃貸借において、建物建築に通常必要とされる範囲の土地の変形加工(石垣・擁壁の設置、盛土、杭打ち等)は借地権の内容に含まれ、特段の事情がない限り賃貸人の承諾を要しないとしている。『必ず承諾を得なければならない』とする本肢は誤りである。
根拠:判例
×肢3
誤り。判例は、賃貸人が修繕義務を履行しない場合であっても、賃借人が目的物を一部でも使用収益できているときは、その限度で賃料の支払義務を免れないとしている。使用収益に関係なく賃料全額の支払を拒絶できるわけではない。
根拠:判例
◯肢4
正しい。賃貸人が賃貸物の保存に必要な行為をしようとするときは、賃借人は、これを拒むことができない(民法606条2項)。修繕工事のため使用収益に支障が生じたとしても、賃借人はこれを拒めない(なお、それにより賃借をした目的を達することができなくなるときは賃借人は契約を解除できる。607条)。
根拠:民法606条2項
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※解説は学習用です。法令・判例は改正等により変わることがあります。受験にあたっては最新の法令・公式情報をご確認ください。