問題
A所有の甲土地を占有しているBによる権利の時効取得に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。
- Bが父から甲土地についての賃借権を相続により承継して賃料を払い続けている場合であっても、相続から20年間甲土地を占有したときは、Bは、時効によって甲土地の所有権を取得することができる。
- Bの父が11年間所有の意思をもって平穏かつ公然に甲土地を占有した後、Bが相続によりその占有を承継し、引き続き9年間所有の意思をもって平穏かつ公然に占有していても、Bは、時効によって甲土地の所有権を取得することはできない。
- Aから甲土地を買い受けたCが所有権の移転登記を備えた後に、Bについて甲土地所有権の取得時効が完成した場合、Bは、Cに対し、登記がなくても甲土地の所有者であることを主張することができる。
- 甲土地が農地である場合、BがAと甲土地につき賃貸借契約を締結して20年以上にわたって賃料を支払って継続的に耕作していても、農地法の許可がなければ、Bは、時効によって甲土地の賃借権を取得することはできない。
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正解は3番
肢ごとの解説
×肢1
誤り。所有権の取得時効には「所有の意思」(自主占有)が必要である(民法162条)。賃借権を相続して賃料を払い続けているBの占有は、所有の意思のない他主占有であり、新権原による自主占有への転換もないから、20年占有しても所有権を時効取得することはできない。
根拠:民法162条・185条
×肢2
誤り。占有者は、その選択に従い、自己の占有のみを主張し、又は自己の占有に前の占有者の占有を併せて主張することができる(民法187条1項)。父の11年+Bの9年=合計20年の占有を併せて主張でき、Bは所有権を時効取得できる。
根拠:民法187条1項
◯肢3
正しい。取得時効が完成した時点の所有者(時効完成前に登記を備えたC)に対しては、時効取得者Bは当事者類似の関係に立ち、登記がなくても時効による所有権取得を対抗することができる(判例)。時効完成「後」に登記を備えた第三者との関係とは異なる。
根拠:民法177条・判例
×肢4
誤り。判例は、農地の賃借権であっても、賃借の意思をもって継続的に土地を用益する事実状態が20年以上継続すれば、農地法の許可がなくても賃借権を時効取得することができるとしている(民法163条)。時効による取得には農地法の許可を要しない。
根拠:民法163条・判例
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※解説は学習用です。法令・判例は改正等により変わることがあります。受験にあたっては最新の法令・公式情報をご確認ください。