問題
占有に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。
- 甲建物の所有者Aが、甲建物の隣家に居住し、甲建物の裏口を常に監視して第三者の侵入を制止していたとしても、甲建物に錠をかけてその鍵を所持しない限り、Aが甲建物を占有しているとはいえない。
- 乙土地の所有者の相続人Bが、乙土地上の建物に居住しているCに対して乙土地の明渡しを求めた場合、Cは、占有者が占有物について行使する権利は適法であるとの推定規定を根拠として、明渡しを拒否することができる。
- 丙土地の占有を代理しているDは、丙土地の占有が第三者に妨害された場合には、第三者に対して占有保持の訴えを提起することができる。
- 占有回収の訴えは、占有を侵奪した者及びその特定承継人に対して当然に提起することができる。
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正解は3番
肢ごとの解説
×肢1
誤り。占有権は、自己のためにする意思をもって物を所持することによって取得される(民法180条)。所持とは物に対する事実的支配をいい、必ずしも鍵を所持する必要はない。裏口を常に監視し第三者の侵入を制止しているAには事実的支配が認められ、甲建物を占有しているといえる。
根拠:民法180条・判例
×肢2
誤り。占有者が占有物について行使する権利は適法に有するものと推定される(民法188条)が、判例は、この推定は本権に関する訴えにおいて権利者からの明渡請求に対して援用できるものではないとしている。CはBの明渡請求を188条の推定を根拠に拒むことはできない。
根拠:民法188条・判例
◯肢3
正しい。占有保持の訴えは、占有者が提起することができ、占有代理人(占有を代理する者)も提起することができる(民法197条後段)。丙土地の占有代理人Dは、占有が妨害された場合、第三者に対して占有保持の訴えを提起できる。
根拠:民法197条後段
×肢4
誤り。占有回収の訴えは、占有を侵奪した者の特定承継人に対しては提起することができない。ただし、その承継人が侵奪の事実を知っていたとき(悪意)は、この限りでない(民法200条2項)。善意の特定承継人に対して「当然に」提起できるわけではない。
根拠:民法200条2項
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※解説は学習用です。法令・判例は改正等により変わることがあります。受験にあたっては最新の法令・公式情報をご確認ください。