問題
請負契約に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。
- 請負契約が請負人の責めに帰すべき事由によって中途で終了し、請負人が施工済みの部分に相当する報酬に限ってその支払を請求することができる場合、注文者が請負人に請求できるのは、注文者が残工事の施工に要した費用のうち、請負人の未施工部分に相当する請負代金額を超える額に限られる。
- 請負契約が注文者の責めに帰すべき事由によって中途で終了した場合、請負人は、残債務を免れるとともに、注文者に請負代金全額を請求できるが、自己の債務を免れたことによる利益を注文者に償還しなければならない。
- 請負契約の目的物に契約不適合がある場合、注文者は、請負人から契約不適合の修補に代わる損害の賠償を受けていなくとも、特別の事情がない限り、報酬全額を支払わなければならない。
- 請負人が契約不適合責任を負わない旨の特約をしたときであっても、知りながら告げなかった事実については、その責任を免れることはできない。
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正解は3番
改題民法改正(令和2年4月施行)に伴う改題。旧634条(請負人の瑕疵担保責任)は削除され、請負の担保責任は売買の契約不適合責任の準用(559条→562条以下)に一本化されたため、肢3・肢4の『瑕疵』『瑕疵担保責任』を『契約不適合』『契約不適合責任』に改めた。肢1の判例法理は改正634条(割合的報酬)として明文化され、肢4の免責制限も旧640条から559条・572条に根拠が移った。各肢の結論(肢3が誤り)は不変。塾長監修で最終確認すること。
肢ごとの解説
◯肢1
正しい。仕事が完成しないまま契約が終了した場合でも、可分な部分の給付によって注文者が利益を受けるときは、その割合に応じた報酬を請求できる(民法634条)。この場合、注文者は残工事の施工に要した費用のうち未施工部分に相当する請負代金額を超える額に限り請求できるとするのが判例であり、本肢は正しい。
根拠:民法634条・判例
◯肢2
正しい。債権者(注文者)の責めに帰すべき事由によって債務を履行することができなくなったときは、債権者は反対給付の履行を拒むことができず、請負人は請負代金全額を請求できる。ただし、自己の債務を免れたことによって利益を得たときは、これを注文者に償還しなければならない(民法536条2項)。
根拠:民法536条2項
×肢3
誤り。契約不適合の修補に代わる損害賠償債務と報酬支払債務は同時履行の関係に立つ(民法533条括弧書、判例)。注文者は、修補に代わる損害の賠償を受けるまで、これに対応する報酬の支払を拒むことができるから、「報酬全額を支払わなければならない」とする点が誤り。
根拠:民法533条括弧書・判例
◯肢4
正しい。売主の担保責任を負わない旨の特約をしたときであっても、知りながら告げなかった事実については責任を免れることができず(民法572条)、この規定は請負にも準用される(民法559条)。
根拠:民法559条・572条
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※解説は学習用です。法令・判例は改正等により変わることがあります。受験にあたっては最新の法令・公式情報をご確認ください。