宅建・不動産資格チャンネル

不動産の実務ガイド / FOR PROS

ハトマークとウサギ、どっちに入る?

開業するとき、ほぼ全員がここで迷います。ところが中立に比較した情報が驚くほど少ない。費用は都道府県で倍近く違い、同じ県でも団体によって数十万円変わります。公式サイトで確認した実額を並べたうえで、判断の軸だけお示しします。どちらが良いとは決めつけません。

✓ 金額・数字は公式サイトで確認(2026年7月17日)✓ どちらの団体とも無関係・中立✓ 宅建・不動産チャンネル制作

先に結論

どちらに入っても、宅建業は問題なくできます。営業保証金の供託が免除される効果も、まったく同じです。制度上の優劣はありません。

違いが出るのは、お金・規模・システムの3つだけです。そしていちばん差が大きいのはお金で、しかもそれは都道府県ごとに違います。だから「全国的にこちらが得」という答えは存在しません。あなたの県の、両方の金額を見るしかありません。

全宅連(ハトマーク)公益社団法人 全国宅地建物取引業協会連合会
会員数約10万事業者
全国の約8割
設立1967年(昭和42年)
保証協会全宅保証
入会先都道府県の宅建協会
流通システムハトサポBB
電子契約ハトサポサイン
消費者向けサイトハトマークサイト
全日(ウサギ)公益社団法人 全日本不動産協会
会員数公式に記載なし
(全宅連に次ぐ2番手)
設立1952年(昭和27年)
業界最古
保証協会不動産保証協会
入会先都道府県の地方本部
流通システムラビーネットBB
by ITANDI BB
電子契約オプション扱い
消費者向けサイトラビーネット不動産

意外に思われるかもしれませんが、業界最古は全日です。全日の創立は1952年10月1日、全宅連の設立は1967年9月29日。「大きいほうが古い」わけではありません。

同じところ ── 分担金60万円は変わりません

まず押さえておきたいのは、どちらを選んでも変わらない部分です。ここを勘違いすると比較を誤ります。

項目ハトマークウサギ
弁済業務保証金分担金主たる事務所60万円/従たる事務所30万円(法律で決まっているので同額)
営業保証金1,000万円の供託どちらも免除されます
法的な位置づけどちらも国土交通大臣が指定した保証協会
取引の相手方の保護還付を受けられる範囲は同じ
研修・法定研修どちらも実施(宅建業法64条の6)
無料の相談窓口どちらも設置(弁護士・税務など)

分担金60万円は宅建業法64条の9第1項と施行令7条で定まっているので、団体が値引きすることはできません。「入会金が安い=保証が薄い」ということもありません

お金で比べる ── ここが一番違う

各協会の公式サイトで確認した実額です。分担金60万円を除いた、入会金・初年度会費などの合計を並べました。

協会入会金など内訳
東京ウサギ372,000円4団体の入会金・会費からパッケージ減額36万を控除(2024年6月時点)
北海道ハトマーク672,800円入会金40万+保証協会20万+年会費64,000+講座8,800
神奈川ハトマーク772,000円入会金60万+保証協会10万+年会費72,000(2026年10月31日までの減額中。通常は約107万円)
大阪ハトマーク868,800円入会金60万+保証協会20万+年会費60,000+講座8,800

読み取れることが3つあります。

同じハトマークでも、都道府県で倍近く違います。宅建協会の入会金だけで、北海道40万・大阪60万・神奈川80万(通常時)。全国一律ではありません。

保証協会の入会金にも差があります。全宅保証は20万円、全日の不動産保証協会は8万円でした。ただしこれは調べた範囲での話です。

キャンペーンが動いています。神奈川は2026年10月31日まで減額中で、通常107万円が77万円。時期によって数十万円変わるので、入会の直前に必ず確認してください。

ただし、東京の全日が安いからといって「全日が安い」とは言えません。比べたのは4件だけで、しかも県が違います。同じ県で両方を比べたわけではないので、これは「幅がこれだけある」という事実であって、団体間の優劣ではありません。あなたの県の宅建協会と全日地方本部、両方に見積もりを取ってください。それが唯一の正解です。

開業費用シミュレーターで総額を出す
免許の手数料・宅建士の登録費用・分担金まで含めた開業時の総額と、供託した場合との差額(約940万円)を計算できます。上の4つの実額はボタン1つで入ります。

規模で比べる

全宅連は公式サイトで「宅建協会傘下の会員業者数は約10万事業者で、全国の不動産業者の約80%が会員」と公表しています。全日は、公式サイトに会員数の数字の記載が見当たりませんでした(会員数の推移を示すグラフは掲載されています)。したがって全宅連が最大、全日が2番手という関係になります。

規模が効く場面・効かない場面

効く場面。会員間の物件情報の流通、地域の交流会や勉強会、そして消費者側のマーク認知。ハトマークは街の不動産店の看板として広く知られています。

効かない場面。物件情報の要であるレインズは、どちらの会員でも使えます。レインズは国土交通大臣が指定した指定流通機構であって、業界団体のシステムではないからです。「大きいほうに入らないと物件が回ってこない」ということはありません。

入会の窓口が違います。全宅連は47都道府県の宅建協会の連合体なので、入るのは都道府県の宅建協会です(そして全宅保証に入るには、その宅建協会の会員であることが要件になります)。全日は都道府県の地方本部に入ります。どちらも「全国組織に直接入る」わけではないので、実際に付き合うのは地元の組織です。地域の支部の雰囲気は、入ってから効いてきます。可能なら見学や問い合わせをしてみてください。

システムで比べる

会員向けの中身は会員限定サイトの中にあるため、ここでは各団体が公開ページで説明している範囲で整理します。

用途ハトマークウサギ
会員ポータルハトサポラビーネット ポータル
「協会独自の会員支援サイト」
物件情報の流通ハトサポBB
「宅建協会会員だけの新流通システム。不動産業務を一気通貫でサポート」
ラビーネットBB by ITANDI BB
物件登録・検索システム。イタンジ株式会社がサービス提供。レインズやSUUMOへの連携が可能
電子契約ハトサポサイン
「安い!簡単!安心!」全宅連が提供
オプション扱い
電子契約システムは、入居者管理などと並ぶ追加サービスとして案内されています
書式作成ハトサポWeb書式作成システム
自動連動・呼出し機能。ワード/エクセル書式も配布
契約書類作成システム
研修Web研修(無料閲覧)全日ステップアップトレーニング(eラーニング)
相談弁護士法律相談・契約書式相談・税務相談相談員による電話相談、地方本部での対面相談、全国一斉無料相談会(年1回・10月1日)
提携サービス80種類を超える商品・サービス提携サービスあり
消費者向けサイトハトマークサイトラビーネット不動産

どちらも流通システム・電子契約・書式・研修・相談という骨格は同じです。ただ、公開情報を並べると思想の違いが見えます。

自前でつくるか、外から借りるか

全宅連は自前路線です。ハトサポBB、ハトサポサイン、ハトサポWeb書式作成システムと、いずれも全宅連が提供するものとして案内されています。電子契約も「全宅連が提供する電子契約システム」と明記されています。

全日は外部を起用しています。物件登録・検索の中核である「ラビーネットBB」はby ITANDI BBと名乗っており、イタンジ株式会社がサービスを提供しています。公式ページには「使いやすさNo.1の不動産業者間サイトを起用」とあり、レインズやSUUMOへの連携も可能と書かれています。

そしてもう1点。全日の電子契約システムは、入居者管理などと並ぶ「オプション」として案内されています。ハトサポサインが会員向けの目玉として前面に出ているのとは、位置づけが違います。電子契約を主力に据えたいなら、ここは確認しておくべき差です(費用や条件も含めて)。

どちらが良いという話ではありません。自前なら業界特化で作り込める一方、外部起用なら既に多くの業者が使っているシステムに乗れます。結局は使い勝手ですが、それは触ってみないと分かりません。入会前にデモや説明を受けられないか、聞いてみる価値はあります。

では、どう決めるか

費用も機能も、決定打にはなりません。正直に申し上げると、多くの人にとっては「どちらでも大差ない」というのが実態です。そのうえで、判断の軸を挙げるとすればこうなります。

初期費用を1円でも抑えたいなら

両方から見積もりを取って、安いほうにする。それだけです。数十万円の差は、開業直後の資金繰りには効きます。キャンペーンの有無も必ず確認してください。

地域のつながりを作りたいなら

その地域で会員が多いほう、あるいは支部の活動が活発なほう。紹介や情報が回ってくるかどうかは、結局は人です。全国シェアより、あなたの市区町村の実態のほうが大事です。

消費者からの見え方を重視するなら

ハトマークの認知度は高いです。ただし、それが集客にどれだけ効くかは業態によります。ネット集客が中心なら、マークの差はほとんど効きません。

迷ったときの現実的な進め方。①あなたの県の宅建協会と全日地方本部の両方に電話して、見積もりとキャンペーンの有無を聞く。②地元で開業している業者に、どちらに入っているか・支部の様子を聞く。③金額と雰囲気で決める。後から移ることもできます(ただし入会金は返ってこないので、やり直しは高くつきます)。

供託という選択肢を選ぶ人は、ほとんどいません。営業保証金1,000万円を法務局に預けたまま動かせなくなるためです。協会に入れば60万円で済みます。この差については開業費用シミュレーターで実際の金額を確かめられます。

数字と説明は、2026年7月17日に各団体の公式サイトで確認したものです。 会員数・設立年:全宅連「消費者のみなさまへ」全日「沿革・組織図」。 サービス内容:全宅連 公式サイト全日「主な業務・事業活動」全日「ラビーネット」。 入会金の実額:北海道宅建協会神奈川県宅建協会大阪府宅建協会全日 東京都本部。 分担金の根拠:宅地建物取引業法64条の9第1項、同法施行令7条。
本サイトはどちらの団体とも関係がなく、いずれかを勧めるものではありません。会員向けサービスの内容は各団体の公開ページの記載に基づいており、会員限定サイトの中身は含んでいません。
協会の費用は改定やキャンペーンで頻繁に変わります。2027年7月ごろに再調査を予定していますが、入会の判断は必ず加入予定の協会に直接ご確認ください。